エコリクコラム

2025.9.25
トピック
2025年夏の史上最高の暑さの要因は何か?
日本の夏平均気温偏差は、昨年、一昨年の記録を大幅に上回り、3年連続で最も高い記録となり、歴代最高気温を観測し、猛暑日や40℃以上の延べ地点数の記録も更新しました。
令和7年夏(6~8月)の記録的な高温と7月の少雨の要因は
令和7年夏に記録的な高温と7月の少雨をもたらした主な要因は、太平洋高気圧とチベット高気圧の張り出しが例年より強まったことです。これにより、暖かい空気に覆われ、晴れた日が多くなりました。また、亜熱帯ジェット気流が平年より北側に大きく偏り、日本付近で北に蛇行したことで、地上の梅雨前線が6月末に消滅し、記録的な早さでの梅雨明けとなりました。

出所)気象庁「令和7年夏の記録的な高温と7月の少雨の特徴およびその要因等について ~異常気象分析検討会による分析結果の公表~」(※1)
世界の影響
今回の日本の猛暑は、世界的な異常気象と関連しています。ユーラシア大陸の中緯度帯の広い範囲で異常高温が発生しており、世界の月平均気温偏差は、6月と7月ともに過去3番目に高い値となりました。地球温暖化に伴う全球規模の気温の長期的な上昇傾向も、日本周辺の顕著な高温をさらに押し上げたと考えられます。
気候変動の影響
気候変動は、日本の平均気温の長期的な上昇傾向に影響を与えています。極端な気温の上昇は、屋外作業者の熱中症などの健康被害を増加させ、労働生産性の低下を引き起こします。また、異常気象による物流の遅延や施設の損傷、サプライチェーンの寸断といった問題も発生し、企業の事業活動に影響を与えます。 このような状況に対応するため、企業は気候変動リスクを経営課題として捉える必要があります。
具体的には、脱炭素技術や環境経営に関する専門的な知識を持つ人材の育成が不可欠です。また、猛暑による屋外労働者の安全確保や、リモートワークの活用など、多様な働き方への対応も求められます。
記録的な猛暑や異常気象が常態化する中、企業は気候変動への適応と緩和の両面で人材リソースの確保と育成が急務となっています。脱炭素化を推進する専門人材だけでなく、従業員の健康を守り、事業の継続性を確保するためのサステナビリティに関する知見を持つ人材も重要性が増しています。これらの人材は、採用やリスキリング、外部リソースの活用などを通じて戦略的に確保していく必要があります。 持続可能な社会の実現には、企業、政府、そして個々人が協力して、気候変動に適応するための人材を確保・育成していくことが不可欠です。