エコリクコラム

2025.9.9
トピック
日本の気候変動2025から見る地球温暖化と環境アセスメント
文部科学省と気象庁が、最新の観測結果や科学的知見を取り入れた「日本の気候変動2025 —大気と陸・海洋に関する観測・予測評価報告書—」(※1)から見る地球温暖化と環境アセスメントについて発表したことを受け、本コラムで深堀します。
「日本の気候変動2025」の概要について
文部科学省と気象庁が2025年3月26日に発表した「日本の気候変動2025」は、地球温暖化が日本に与える影響を包括的にまとめた最新の報告書です。これによると、日本の平均気温は過去100年間で大幅に上昇しており、特に豪雨や猛暑日、熱帯夜の発生頻度が顕著に増加しています。さらに、海面水位の上昇や海洋酸性化の進行も確認されており、これらの気候変動は今後も継続・加速すると予測されています。
地球温暖化と環境アセスメントについて
気候変動に伴い、従来の環境アセスメント(環境影響評価)の役割も変化しています。従来のアセスメントは、開発事業が環境に与える影響を評価・予測することが主でしたが、現在は気候変動による将来的なリスクを事業計画にどう織り込むかという視点が不可欠となっています。例えば、再生可能エネルギー施設の建設やインフラ開発では、豪雨や台風による浸水リスク、猛暑による設備の熱効率低下など、気候変動に起因する様々なリスクを事前に評価し、適応策を盛り込むことが求められています。
今後の流れと課題
気候変動という新たなリスクに直面する中、環境アセスメントの専門家には、従来の知識に加えて、より高度で複合的なスキルが求められます。今後の課題は、この変化に対応できる人材をいかに育成し、確保するかです。具体的には、以下のような専門人材の需要が急増すると考えられます。
- 気候変動予測・データ解析の専門家: 複雑な気候モデルやビッグデータを活用し、事業活動が気候に与える影響や、気候変動が事業に与えるリスクを正確に予測・評価できる人材。
- 気候変動適応策のコンサルタント: 気候変動による具体的なリスクを特定し、その緩和・適応策を立案できる人材。例えば、防災・減災対策、耐候性のあるインフラ設計、サプライチェーンの強靭化など、多様なソリューションを提案する能力が求められます。
- 環境法務・政策専門家: 変化する国内の法制度や、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)のような国際的な枠組みを理解し、企業戦略に反映できる人材。
これらの人材は、単一の専門分野に留まらず、科学、技術、政策、経営といった多岐知識を統合できる「サステナビリティ・イノベーター」としての役割を担うことになるでしょう。