北海道北部が脱炭素の最前線に! GEベルノバ社と協業覚書を締結 〜ユーラスエナジーHDも参画!再エネ×データセンターの「地産地消モデル」で地域活性化とGXを一体的に推進〜 | グリーンジョブのエコリク

エコリクコラム

一覧に戻る

北海道北部が脱炭素の最前線に! GEベルノバ社と協業覚書を締結〜ユーラスエナジーHDも参画!再エネ×データセンターの「地産地消モデル」で地域活性化とGXを一体的に推進〜|グリーンジョブのエコリク

2025.6.19

トピック

北海道北部が脱炭素の最前線に! GEベルノバ社と協業覚書を締結 〜ユーラスエナジーHDも参画!再エネ×データセンターの「地産地消モデル」で地域活性化とGXを一体的に推進〜

日本のエネルギー転換と地域活性化に新たな動きです。経済産業省は6月10日、米エネルギー大手GEベルノバ社との間で、官民協力の枠組みを構築する協業覚書(MOU)を締結したと発表しました。この協業は、特に風力発電設備のサプライチェーン(供給網)強化などを通じ、国内の脱炭素を推進することを目的としています。

そして、この国際的な協業の具体的な動きとして、株式会社ユーラスエナジーホールディングスらも参画し、北海道北部地域で再生可能エネルギー導入とデータセンター立地を一体的に実現するプロジェクトが進められています。これは、豊富な再エネをデータセンターの電力として「地産地消」する新たなモデルとして注目を集めています。

リリース内容について

今回の協業覚書締結は、日本が掲げる2050年カーボンニュートラル目標達成に向け、特に再生可能エネルギーの主力電源化を加速させるための重要な取り組みです。経済産業省とGEベルノバ社は、以下の分野での協力を進めることで合意しました。

  • 風力発電設備のサプライチェーン強化: 風力発電設備の製造・供給網を国内で強靭化し、安定的な再エネ導入を可能にします。これは、部品供給の安定化や、国内での雇用創出にも繋がります。
  • 水素・アンモニア、CCSなど次世代技術での協力: 水素やアンモニアといった次世代燃料の活用、そしてCO2を回収・貯留するCCS(Carbon Capture and Storage)技術など、脱炭素化に不可欠な技術分野でも連携を深めます。
  • 原子力分野での協力: エネルギー安全保障の観点から、原子力分野においても継続的な議論と協力を行います。

この広範な協力枠組みの中で、特に注目されるのが、北海道北部地域における再生可能エネルギーとデータセンターの連携プロジェクトです。北海道北部は、安定した強い風が吹く「風況の良い」地域として知られ、大規模な風力発電所の適地が多く存在します。ここにデータセンターを誘致することで、再生可能エネルギーで生み出された電力をその場で消費する「再エネの地産地消」を実現し、地域経済の活性化と脱炭素化を同時に推進する狙いがあります。

データセンターは膨大な電力を消費するため、その電力源を再生可能エネルギーで賄うことは、グローバル企業の脱炭素化目標達成にも貢献し、北海道の新たな産業集積にも繋がると期待されています。

そして、この北海道北部でのプロジェクトにおいて、国内大手再生可能エネルギー事業者である株式会社ユーラスエナジーホールディングスが、風力発電所の開発・運営において重要な役割を果たす見込みです。 同社は、これまでも北海道を始め全国各地で大規模な風力発電所の開発・運営実績を多数持ち、その豊富な知見と経験が今回のプロジェクト推進に大きく貢献すると見られています。GEベルノバ社の発電機技術と、ユーラスエナジーホールディングスの開発・運営ノウハウが組み合わさることで、より効率的で安定的な再生可能エネルギー供給体制の構築が期待されます。

風力発電にかかるサプライチェーン強靭化とは

風力発電の導入拡大において、その「サプライチェーン(供給網)の強靭化」は喫緊の課題です。これは、風車を構成する部品(ブレード、ナセル、タワーなど)の製造から、輸送、建設、メンテナンスに至るまでの一連の工程が、特定の国や企業に過度に依存することなく、安定的かつ効率的に機能する体制を構築することを指します。

なぜサプライチェーンの強靭化が重要なのでしょうか?

  • 安定供給の確保: 部品の供給が滞ると、風力発電所の建設やメンテナンスが遅れ、再エネ導入目標の達成に支障をきたします。
  • コスト削減: 国内での部品生産や技術開発が進めば、輸送コストの削減や、技術競争による全体的なコストダウンに繋がります。
  • 経済安全保障: 特定国への依存度が高いと、地政学リスクや貿易摩擦などの影響を受けやすくなります。国内でのサプライチェーン構築は、エネルギー安全保障の観点からも重要です。
  • 雇用創出と地域活性化: 国内での製造やメンテナンス拠点の設立は、新たな雇用を生み出し、地域の経済活性化に貢献します。

GEベルノバ社は、世界有数の風力発電機メーカーであり、今回の協業覚書を通じて、日本のサプライヤーとの連携強化や、国内での技術移転などが期待されます。ユーラスエナジーホールディングスも、自社の豊富な経験を通じてサプライチェーン強化に貢献する可能性があります。

洋上風力発電プロジェクトの全国的な広がり

日本では、2050年カーボンニュートラル達成に向け、特に洋上風力発電が重要な役割を担うとされています。政府は2030年までに10GW、2040年までに30〜45GWの洋上風力発電導入目標を掲げ、全国各地でプロジェクトが進行中です。

  • 洋上風力発電のポテンシャル: 日本は四方を海に囲まれ、洋上には陸上に比べて安定した風況と広大な設置場所があるため、洋上風力発電の大きな潜在力を持っています。
  • 事業者の誘致と入札: 政府は、洋上風力発電の「促進区域」を指定し、事業者を公募・入札する仕組みを導入しています。これにより、競争を通じて発電コストの低減を目指しています。
  • 地域との共存: 漁業との調整や環境影響評価など、地域との共存がプロジェクト成功の鍵となります。北海道北部でのデータセンターとの一体的導入は、こうした課題を克服し、地域にメリットをもたらす新たなモデルとしても期待されています。
  • 全国的な広がり: 秋田県や千葉県沖など、既に複数の洋上風力発電所が稼働・建設中であり、今後、日本海側を中心に全国各地でプロジェクトの具体化が進む見込みです。ユーラスエナジーホールディングスも、既に北海道を含め、全国で複数の洋上風力発電プロジェクトへの参画を表明しています。

現状と課題について

GEベルノバ社との協業や北海道での新モデルの展開は期待が大きいものの、日本が再生可能エネルギー大国となるためには、依然として多くの課題が存在します。

現状:

  • 再エネ導入の加速: 再生可能エネルギーの導入は進んでいるものの、主要電源としての確立にはまだ道半ばです。
  • 系統制約: 大規模な再エネ導入に対応するための送電網(電力系統)の増強が追いついていない地域があります。
  • コスト競争力: 洋上風力発電の発電コストは国際的に見てもまだ高く、さらなる低減が必要です。

課題:

  • サプライチェーンの国内化・強靭化: 部品の国産化率向上や、技術人材の育成など、サプライチェーン全体の国内化・強靭化をさらに加速させる必要があります。
  • 漁業との共存: 洋上風力発電導入地域における漁業との丁寧な合意形成と、共存共栄のモデル構築が不可欠です。
  • 送電網の増強と最適化: 再エネ適地から需要地への送電ルート確保、広域的な系統整備、蓄電池技術の導入など、送電網の課題解決が急務です。
  • 技術開発の推進: 特に浮体式洋上風力発電など、日本の地理的特性に適した技術の開発と実用化を加速させる必要があります。
  • 人材育成: 再エネ設備の設計、建設、運用、メンテナンスを担う専門人材の育成が急務です。

経済産業省とGEベルノバ社の協業覚書締結、そして株式会社ユーラスエナジーホールディングスも参画する北海道北部での再生可能エネルギーとデータセンターの一体的プロジェクトは、日本の脱炭素化と地域経済活性化に向けた新たな時代の幕開けを予感させます。特に、風力発電のサプライチェーン強靭化は、安定的な再エネ導入の基盤を築く上で極めて重要です。

日本が真の再生可能エネルギー大国となるためには、洋上風力発電のさらなる導入加速、コスト競争力の強化、そして地域との共存を図りながら、多角的な課題解決に取り組む必要があります。今回の官民連携、そして有力企業間の協業がその推進力となり、国際競争力を高めながら、持続可能な社会の実現に貢献することを期待します。

業界のプロがあなたの経歴にマッチした
求人情報をご提案いたします!

会員登録(無料)

【人材をお探しの企業様】貴社のサステナビリティを
推進する人材をご紹介します

詳しくはこちら

執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒 学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事 アニュアルレポート、統合報告書の作成 東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

tag:

一覧に戻る