2025年6月1日施行!労働安全衛生規則改正で熱中症対策が義務化 - 企業担当者が知っておくべきポイントと課題 | グリーンジョブのエコリク

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2025年6月1日施行!労働安全衛生規則改正で熱中症対策が義務化 - 企業担当者が知っておくべきポイントと課題 |グリーンジョブのエコリク コラム

2025.5.29

トピック

2025年6月1日施行!労働安全衛生規則改正で熱中症対策が義務化 – 企業担当者が知っておくべきポイントと課題

2025年6月1日から労働安全衛生規則が改正され、事業者の皆様に対して熱中症対策が義務付けられることとなりました。この改正は、近年増加傾向にある職場における熱中症発生を防ぎ、労働者の安全と健康を守るための重要な措置です。

【2025年6月施行】労働安全衛生規則改正とは

今回の労働安全衛生規則の改正は、事業者が講ずべき熱中症予防対策をより具体的に定め、その実施を義務付けるものです。これまでも事業者は労働者の安全配慮義務に基づき熱中症対策を行う必要がありましたが、今回の改正により、より明確な法的根拠と具体的な措置が求められることになります。

労働安全衛生規則改正により、事業者の熱中症対策が義務化される背景

近年、地球温暖化の影響、夏季の異常な高温により、職場における熱中症の発生件数が増加傾向にあります。特に、屋外作業や高温多湿な屋内作業に従事する労働者にとって、熱中症は深刻な健康リスクとなっています。このような状況を踏まえ、労働者の安全と健康を確保するため、より実効性の高い熱中症対策を事業者に義務付けることが決定されました。

労働安全衛生規則改正による熱中症対策義務化の内容

今回の改正では、事業者は以下の2つの主要な措置を講じ、これらを労働者に対して周知することが義務付けられます。

1)ポイント1|熱中症患者の報告体制の整備・周知

  • 事業者は、万が一、労働者が熱中症を発症した場合に、迅速かつ適切に報告・連絡を行うための体制を整備する必要があります。
  • 報告ライン、連絡先、報告事項などを明確にし、これを作業従事者全員に周知徹底しなければなりません。
  • 具体的には、誰に、どのような情報を、どのように報告するのかといった手順を定め、マニュアル等を作成し、研修や掲示などを通じて周知することが求められます。

2)ポイント2|熱中症の悪化防止措置の準備・周知

  • 事業者は、労働者が熱中症を発症した場合に、その症状が悪化するのを防ぐための適切な措置を事前に準備する必要があります。
  • 具体的には、以下のような措置が想定されます。
    • 救急セットの準備: 冷却材、水分補給のための飲料、体温計、応急処置に関する情報などを備えた救急セットの用意。
    • 救護体制の確立: 熱中症の疑いがある労働者を一時的に休ませるための涼しい場所の確保、必要に応じて医療機関への連絡体制の確立。
    • 搬送手段の確保: 緊急時に労働者を医療機関へ搬送するための手段の確保。
  • これらの悪化防止措置の内容と、その利用方法についても、作業従事者に対して周知徹底する必要があります。

企業が取り組む内容

今回の規則改正を受け、企業は以下の内容に具体的に取り組む必要があります。

  • 熱中症対策計画の策定: 作業内容や環境に応じた具体的な熱中症対策計画を策定する。
  • 作業環境の管理: 作業場所の温度、湿度、輻射熱などを測定し、WBGT値(暑さ指数)を把握する。WBGT値に応じた作業時間の管理や休憩の確保を行う。
  • 作業方法の改善: 熱源となる設備の改善、通気性の確保、日陰の設置など、作業環境を改善するための措置を講じる。
  • 保護具の着用: 通気性の良い作業服、帽子、冷却機能のある保護具などを支給・推奨する。
  • 健康管理の徹底: 作業前の健康状態の確認、熱中症のリスクが高い労働者への配慮、体調不良者の早期発見と対応を行う。
  • 教育・訓練の実施: 全ての作業従事者に対して、熱中症の予防、症状、応急処置に関する教育・訓練を実施する。
  • 報告体制と悪化防止措置の整備・周知: 今回義務化された報告体制と悪化防止措置を整備し、全労働者に確実に周知する。

現状と課題について

多くの企業では、これまでも自主的に熱中症対策に取り組んできたと考えられますが、今回の義務化により、より一層の徹底と具体的な対応が求められます。

現状の課題としては、以下のような点が考えられます。

  • 中小企業における対策の遅れ: 人手や予算が限られている中小企業では、十分な対策を講じることが難しい場合があります。
  • 業種・作業内容による対策の差異: 屋外作業、屋内作業、軽作業、重作業など、業種や作業内容によって適切な対策が異なるため、画一的な対応が難しい場合があります。
  • 管理者の意識改革と指導力: 管理者が熱中症の危険性を十分に認識し、適切な指導を行うことが重要ですが、意識の差や知識不足が見られる場合があります。
  • 労働者の意識向上: 労働者自身が熱中症の予防策を理解し、体調管理に注意を払う必要がありますが、意識が低い場合もあります。
  • 実効性のある報告体制と悪化防止措置の構築: 実際に熱中症患者が発生した場合に、迅速かつ適切に対応できる実効性のある体制を構築する必要があります。

2025年6月1日から施行される労働安全衛生規則改正は、事業者が労働者の命と健康を守る上で非常に重要な措置です。企業担当者の皆様は、今回の改正内容をしっかりと理解し、自社の状況に合わせて必要な対策を早急に講じる必要があります。報告体制の整備と周知、熱中症悪化防止措置の準備と周知を確実に行い、労働者が安心して働ける環境づくりを進めていきましょう。

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒 学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事 アニュアルレポート、統合報告書の作成 東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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