エコリクコラム

2025.5.29
トピック
静岡県茶産業の未来を拓く!碾茶栽培農地における営農型太陽光発電所共同開発
持続可能な社会の実現に向けた取り組みは、企業の社会的責任としてますます重要になっています。この度、JA三井リース株式会社、JA三井エナジーソリューションズ株式会社、農林中央金庫、株式会社流通サービス、TEA ENERGY 株式会社が連名で2025年4月25日に発表した、碾茶(抹茶)栽培農地における営農型太陽光発電所の共同開発に関するリリースをもとに、注目を集める「ソーラーシェアリング」と「オフサイトPPA」について解説します。
共同開発プロジェクトの概要
静岡県は、高品質な碾茶(抹茶)の産地として知られていますが、近年、担い手不足や高齢化による生産量の減少が課題となっています。このプロジェクトは、農地に太陽光発電設備を設置する「ソーラーシェアリング」という手法を用いて、以下の2つの目標を同時に達成することを目指しています。
- 静岡県茶産業の維持・拡大: 安定的な農業収入を確保し、茶農家の経営を支援することで、茶産業の持続可能性を高めます。
- 生産農家の所得向上: 発電した電力の売却収入を農家に還元することで、農家の所得向上に貢献します。
オフサイトPPAとは?
PPA(Power Purchase Agreement:電力販売契約)とは、電力の需要家(企業など)が、発電事業者から電力を購入する契約のことです。
オフサイトPPAは、需要家の敷地外に設置された発電所から、送配電網を介して電力を供給する仕組みです。
オフサイトPPAのメリットとデメリット
メリット:
- 初期費用なしで再生可能エネルギーを導入可能: 需要家は発電設備の設置費用を負担する必要がないため、初期投資を抑えて再生可能エネルギーを利用できます。
- 長期的な電力コストの安定化: 電力価格の変動リスクを回避し、長期的なコスト削減につながる可能性があります。
- RE100目標の達成に貢献: 再生可能エネルギーの利用拡大は、企業のRE100(事業活動で消費する電力を100%再生可能エネルギーで賄うことを目指す国際的なイニシアチブ)目標の達成に貢献します。
デメリット:
- 送配電網の利用料が発生: 発電所から需要家まで電力を送るための送配電網利用料がかかります。
- 発電量と需要量のミスマッチリスク: 発電量と需要量のバランスが崩れると、余剰電力の処理や不足分の電力調達が必要になる場合があります。
ソーラーシェアリングとは?
ソーラーシェアリングとは、農地に太陽光発電設備を設置し、農業と発電を同時に行う仕組みです。
農作物の生育に必要な日射量を確保しながら、太陽光発電を行うことで、土地の有効活用と農家の収入向上を両立できます。
ソーラーシェアリングのメリットとデメリット
メリット:
- 土地の有効活用: 農業と発電を同時に行うことで、土地の生産性を最大化できます。
- 農家の収入向上: 電力売却収入により、農業収入を補填し、経営の安定化に貢献します。
- 再生可能エネルギーの普及促進: 農地という新たな発電場所を確保することで、再生可能エネルギーの普及に貢献します。
デメリット:
- 初期投資コスト: 太陽光発電設備の設置には、一定の初期投資が必要です。
- 農業への影響: 太陽光パネルの設置により、農作物の生育に影響が出る可能性があります。適切な設計と管理が重要です。
オフサイトPPAとソーラーシェアリングの現状と課題
オフサイトPPAは、企業を中心に導入が進んでいますが、送配電網の制約や、発電量と需要量のミスマッチなどが課題となっています。
ソーラーシェアリングは、農業の振興と再生可能エネルギーの普及を両立する有望な手法として注目されていますが、初期投資コストや農業への影響などが課題となっています。
今回の碾茶栽培農地における営農型太陽光発電所の共同開発プロジェクトは、オフサイトPPAとソーラーシェアリングの組み合わせにより、地域活性化と持続可能な社会の実現に貢献する先進的な事例です。