企業のGX推進を加速させる「GX推進スキル標準Ver2.0」が発表 | グリーンジョブのエコリク

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企業のGX推進を加速させる「GX推進スキル標準Ver2.0」が発表 |グリーンジョブのエコリク コラム

2025.5.28

トピック

企業のGX推進を加速させる「GX推進スキル標準Ver2.0」が発表

脱炭素化・GX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みは、喫緊の課題であり、新たな成長の機会でもあります。この度、GXリーグに設置された「GX人材市場創造WG」より、企業のGX推進を力強く後押しする「GX推進スキル標準Ver2.0」が2025年5月14日に発表されました。

GXリーグとは – 挑戦と共創でGXを推進する場

GXリーグは、脱炭素社会への移行と経済成長の実現を目指し、意欲ある企業が排出量削減目標を設定し、その実行に向けた挑戦や情報開示を行うとともに、新たな市場創造のための協業を行う場です。2023年4月に創設され、多くの企業が参画し、GXに関する様々な取り組みを進めています。

GX人材市場創造WGとは – GX推進を担う人材育成のエンジン

GX人材市場創造ワーキンググループ(WG)は、GXリーグにおける重要な活動の一つとして、GXを推進するために必要となる人材の育成と市場の活性化を目的に設置されました。企業がGXを推進する上で直面する人材不足という課題に対し、必要なスキルを明確化し、その育成を支援する取り組みを進めています。

GX推進スキル標準Ver2.0とは – GX推進に必要なスキルを体系化

今回発表された「GX推進スキル標準Ver2.0」は、企業がGXを推進していく上で必要となる多様なスキルを体系的に整理・定義したものです。これにより、企業は自社のGX戦略に必要な人材要件を明確化し、採用、育成、配置などを効果的に行うことが可能になります。

Ver2.0では、GXを推進する上で求められるスキルを、以下の3つの大分類と、さらに細分化された中分類・小分類で定義しています。

大分類1:GX戦略・事業開発

■ 中分類:GX戦略策定

◎ 小分類:

  • 国内外のGX動向・政策理解
  • 自社の現状分析と課題特定
  • GX目標設定・KPI設計
  • GX戦略ロードマップ策定
  • リスク・機会分析

■ 中分類:GX事業開発

◎ 小分類:

  • 新規GX事業アイデア創出
  • 事業実現に向けた feasibility study
  • 技術・市場動向調査
  • ビジネスモデル構築
  • 資金調達・アライアンス

■ 中分類:サプライチェーン・連携

◎ 小分類:

  • サプライチェーン排出量算定・削減
  • 他企業との連携・協業推進
  • 国際的なイニシアティブへの参加
  • 地域社会との共創

大分類2:GX技術・実装

■ 中分類:エネルギーマネジメント

◎ 小分類:

  • 省エネルギー推進
  • 再生可能エネルギー導入・運用
  • エネルギー貯蔵システム活用
  • エネルギー需給最適化
  • 水素エネルギー活用

■ 中分類:資源循環

◎ 小分類:

  • 3R(リデュース・リユース・リサイクル)推進
  • サーキュラーエコノミー実現
  • 廃棄物管理・適正処理
  • バイオマス資源活用

■ 中分類:環境技術開発・導入

◎ 小分類:

  • CO2排出量削減技術開発
  • 環境負荷低減技術導入
  • 気候変動適応技術導入
  • モニタリング・計測技術活用

■ 中分類:デジタル技術活用

◎ 小分類:

  • データ分析・活用による効率化
  • AI・IoT等による最適化
  • サプライチェーン可視化
  • シミュレーション技術活用

大分類3:GX推進基盤

■ 中分類:組織・人材育成

◎ 小分類:

  • GX推進体制構築
  • 社内意識改革・エンゲージメント向上
  • GX人材育成プログラム開発・実施
  • 外部専門家との連携

■ 中分類:コミュニケーション・情報開示

◎ 小分類:

  • 社内外への情報発信・広報
  • 投資家・ステークホルダーとの対話
  • ESG情報開示
  • グリーンウォッシュ対策

■ 中分類::ファイナンス・制度対応

◎ 小分類:

  • GX関連の資金調達
  • 補助金・税制優遇措置活用
  • カーボンプライシング制度対応
  • 国際的な制度・基準対応

■ 中分類:プロジェクトマネジメント

◎ 小分類:

  • GXプロジェクト計画策定・実行
  • 進捗管理・リスク管理
  • 成果測定・評価

GX推進スキル標準Ver1.0との違い – より実践的で広範な対応

Ver2.0は、2024年3月に公開されたVer1.0をベースに、より詳細なスキル定義と、より広範なGX推進領域をカバーするようにアップデートされています。具体的には、以下のような点が強化されています。

  • サプライチェーン連携の強化: サプライチェーン全体での排出量削減や連携に関するスキルがより詳細に定義されました。
  • サーキュラーエコノミーの推進: 資源循環に関するスキルが独立した中分類として新設されました。
  • デジタル技術の活用: AIやIoTなどのデジタル技術をGXに活用するスキルがより具体的に示されました。
  • 組織・人材育成の深化: 社内エンゲージメント向上や外部専門家との連携など、組織全体の推進体制に関するスキルが拡充されました。
  • ファイナンス・制度対応の強化: カーボンプライシング制度や国際的な制度への対応など、金融・政策に関するスキルがより詳細に定義されました。

現状と課題について – GX推進に向けた人材育成の重要性

多くの企業がGXの重要性を認識し、取り組みを開始していますが、専門知識やスキルを持つ人材の不足が大きな課題となっています。GXを推進するためには、経営層から現場まで、幅広い層のGXに関する知識とスキル向上が不可欠です。

GX推進スキル標準Ver2.0は、企業がこの課題を克服し、効果的にGXを推進するための共通言語となり、人材育成戦略の策定や、人材採用の際の明確な指標となります。

「GX推進スキル標準Ver2.0」は、企業がGXを推進し、持続的な成長を実現するための強力なツールとなります。企業は本スキル標準を活用することで、

  • 自社のGX戦略に必要な人材像を明確化
  • 従業員のスキル開発・育成を効果的に実施
  • GX関連の新たなビジネスチャンスを創出

することが期待されます。

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒 学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事 アニュアルレポート、統合報告書の作成 東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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