「ブルーカーボン」で実現する令和の里海づくり - 藻場・干潟保全・再生の評価手引きが示す新たな価値創造 | グリーンジョブのエコリク

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2025.5.15

トピック

「ブルーカーボン」で実現する令和の里海づくり – 藻場・干潟保全・再生の評価手引きが示す新たな価値創造

近年、地球温暖化対策と豊かな生態系回復への貢献が両立する「ブルーカーボン」への注目が高まっています。この度、2025年4月4日に環境省が発表した「ブルーカーボンを活用! 令和の里海づくりに向けた藻場・干潟の保全・再生の評価の手引き」は、まさにその潮流を加速させる羅針盤となるものです。企業がこの手引きを理解し活用することで、新たな事業機会の創出、企業価値の向上、そして持続可能な社会への貢献が期待されます。

「ブルーカーボン」とは何か? – 海の生態系が秘める可能性

ブルーカーボンとは、海洋生態系、特に藻場や干潟、マングローブなどの沿岸域の生態系によって吸収・貯留される炭素のことです。これらの生態系は、陸上の森林と同様に光合成によって二酸化炭素を吸収し、長期間にわたって海底の堆積物中に炭素を固定します。その炭素吸収・貯留能力は、森林と比較しても非常に高いポテンシャルを秘めており、地球温暖化対策の重要な一手として世界的に注目されています。

「令和の里海づくり」とブルーカーボン – 持続可能な社会への貢献

「令和の里海づくり」は、豊かな自然の恵みを享受しつつ、人々の暮らしや産業活動と調和した持続可能な海域を目指す取り組みです。藻場や干潟は、多様な生物の生息地となるだけでなく、水質浄化や高潮対策といった自然の恵みをもたらします。ブルーカーボン生態系の保全・再生は、これらの機能を高め、「令和の里海づくり」の実現に大きく貢献します。

企業がブルーカーボンに着目し、藻場・干潟の保全・再生に取り組むことは、以下のような多岐にわたるメリットをもたらします。

  • 温室効果ガス排出量削減への貢献: カーボンオフセットやサプライチェーンにおける排出量削減目標達成に活用できます。
  • 生物多様性の保全: 生物多様性保全への貢献は、企業の社会的責任(CSR)を向上させ、ESG投資の観点からも評価を高めます。
  • 新たな事業機会の創出: 藻場の育成、ブルーカーボンクレジットの創出・販売、環境教育プログラムの開発など、新たなビジネスチャンスが生まれます。
  • 地域社会との連携強化: 地域の漁業関係者や自治体と連携することで、良好な関係を構築し、地域社会への貢献を示すことができます。
  • 企業イメージの向上: 環境保全に積極的に取り組む姿勢は、企業イメージやブランド価値を高め、顧客や投資家からの信頼を得やすくなります。

「藻場・干潟の保全・再生の評価の手引き」 – 企業が取り組むための道標

今回発表された評価の手引きは、企業がブルーカーボンを活用した里海づくりに取り組む上で、その効果を適切に評価するための具体的な方法を示しています。手引きには、藻場・干潟の保全・再生による炭素吸収量の算定方法、生態系への影響評価、経済効果の評価など、多角的な視点からの評価手法が盛り込まれています。

企業はこの手引きを活用することで、以下のようなことが可能になります。

  • 事業の環境価値の可視化: 保全・再生事業による炭素吸収量を定量的に評価し、その環境貢献度を明確に示すことができます。
  • 効果的な事業計画の策定: 科学的な評価に基づいて、より効果的な藻場・干潟の保全・再生計画を立案・実行できます。
  • ステークホルダーへの説明責任: 事業の環境効果を客観的なデータに基づいて説明することで、投資家や顧客、地域社会からの理解と支持を得やすくなります。
  • ブルーカーボンクレジットの活用: 適切な評価に基づいて創出されたブルーカーボンクレジットを、自社のカーボンオフセットや他企業への販売に活用できます。

企業が今取り組むべきこと – 持続可能な未来への投資

「ブルーカーボンを活用! 令和の里海づくりに向けた藻場・干潟の保全・再生の評価の手引き」は、企業にとって、地球温暖化対策と豊かな自然再生に貢献するための具体的な道筋を示すものです。この手引きを参考に、自社の事業活動と関連付けながら、ブルーカーボンを活用した新たな価値創造に積極的に取り組むことが、持続可能な社会の実現に向けた重要な一歩となります。

今こそ、企業は「ブルーカーボン」という新たな可能性に着目し、未来への投資として、里海づくりへの貢献を検討すべき時です。

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒 学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事 アニュアルレポート、統合報告書の作成 東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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