拡大を続けるプライベート・エクイティ(PE)市場の2025年の展望 | グリーンジョブのエコリク

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拡大を続けるプライベート・エクイティ(PE)市場の2025年の展望|グリーンジョブのエコリク コラム

2025.4.24

トピック

拡大を続けるプライベート・エクイティ(PE)市場の2025年の展望

近年、プライベート・エクイティ(PE)市場は目覚ましい拡大を続けています。上場企業の非上場化支援、大手企業によるノンコア事業売却の受け皿、後継者不足に悩む中堅・中小企業の事業承継先など、PEファンドの活用は多岐にわたり、その存在感は増すばかりです。

2025年は、PEファンドが主導する大手上場企業の非上場化が記録的な水準に達し、大型のファンドレイズも相次ぎました。また、中小中堅企業市場では、サーチファンドの組成が活況を呈し、米国で急速に拡大している「ETA(Entrepreneurship Through Acquisition)」と同様の傾向が日本でも見られるか注目されています。

本記事では、拡大を続けるPE市場について、2025年の展望と注目すべき7つのポイントを解説します。

プライベート・エクイティ・ファンド業界とは?

プライベート・エクイティ・ファンド(PEファンド)とは、投資家から集めた資金で未上場企業に投資し、企業の価値向上を通じてリターンを得るファンドのことです。

PEファンドは、投資先の経営に積極的に関与し、戦略立案、組織改革、M&Aなどを通じて企業の成長を支援します。投資期間は一般的に数年から10年程度と長く、投資先の企業価値を高めた後に株式公開(IPO)やM&Aによって売却し、投資家に利益を分配します。

PEファンドの仕組みと種類

PEファンドの仕組みは、大きく分けて以下の3つの段階に分けられます。

  • ファンドレイズ:投資家から資金を集める
  • 投資実行:未上場企業に投資する
  • 投資回収:株式公開(IPO)やM&Aによって投資先を売却し、投資家に利益を分配する

PEファンドには、投資対象や投資ステージによって様々な種類があります。

  • バイアウトファンド:成熟した企業に投資し、経営権を取得して企業価値向上を目指す
  • ベンチャーキャピタル:スタートアップ企業に投資し、高い成長を目指す
  • グロースキャピタル:成長期の企業に投資し、さらなる成長を支援する
  • ターンアラウンドファンド:経営不振の企業に投資し、事業再生を目指す
  • セカンダリーファンド:他の投資家が保有するPEファンドの持分を取得する

PEファンドの魅力とキャリア

PEファンドの魅力は、高いリターンが期待できること、経営に深く関与できること、そして社会に貢献できることです。

PEファンドで働くキャリアは、投資、経営、財務、法務、サステナビリティなど多岐にわたります。高い専門性と経験が求められる一方、若いうちから大きな責任と裁量を与えられ、成長の機会が多い魅力的なキャリアパスと言えるでしょう。

企業のカーブアウトとテクノロジー、エネルギー、インフラのディールの融合が新たな勢いを加速している

2025年のPE市場では、大手企業によるノンコア事業のカーブアウト(切り出し)と、テクノロジー、エネルギー、インフラ分野のディールが融合することで、新たな投資機会が生まれています。

企業は、事業ポートフォリオの見直しや経営資源の集中を通じて、競争力の強化を図っています。また、テクノロジー、エネルギー、インフラ分野は、社会的なニーズや政策的な支援を背景に、高い成長が見込まれています。

これらの分野に強みを持つPEファンドは、専門知識やネットワークを活かし、投資先の企業価値向上に貢献することが期待されています。

2025年のプライベート・キャピタルにおけるM&Aの見通し

2025年のプライベート・キャピタルにおけるM&Aは、セクター間の融合が進み、投資家は価値創造に対してより厳しい評価を行うでしょう。

地政学的なリスクや金利変動など、不確実な要素も多いですが、PEファンドは専門性を高め、リスク管理を徹底することで、投資機会を創出し、高いリターンを目指すことが重要です。

プライベート・エクイティのESG戦略とは

近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資への関心の高まりを受け、PEファンドもESG戦略を重視するようになっています。

投資家は、投資先のESGパフォーマンスを評価し、持続可能な成長を重視する傾向にあります。PEファンドは、ESGを投資プロセスに組み込み、投資先企業のESG改善を支援することで、企業価値の向上と社会的な責任の両立を目指しています。

2025年の課題と期待

2025年のPE市場は、成長の機会とともに、様々な課題も抱えています。

  • 地政学的なリスクや金利変動など、不確実性の高まり
  • 投資家によるESG投資への関心の高まり
  • テクノロジー、エネルギー、インフラ分野における競争の激化

これらの課題に対応するため、PEファンドは専門性を高め、リスク管理を徹底し、ESGを重視した投資戦略を推進する必要があります。

一方で、日本におけるサーチファンドの活況や、大手企業のカーブアウトと成長分野の融合は、新たな投資機会を創出し、PE市場のさらなる発展を牽引することが期待されます。

2025年のPE市場は、変化と成長が交錯する一年となるでしょう。PEファンドは、変化をチャンスと捉え、専門性を磨き、持続可能な成長を目指すことで、投資家、投資先企業、そして社会全体に貢献することが期待されます。

図1 国内プライベート・エクイティ・ファンド業界 カオスマップ(2025年版)
出所)くじらキャピタルHP「【日本のPE業界が一目でわかる】国内プライベート・エクイティ・ファンド業界 カオスマップ(2025年版)」(※1

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒 学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事 アニュアルレポート、統合報告書の作成 東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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