エコリクコラム

2025.4.17
トピック
持続可能な未来への鍵である次世代バッテリーとバッテリーパスポート
バッテリーリサイクル技術は地球環境保全と持続可能なビジネスモデルの鍵となる分野として、急速に進化を遂げています。特に電気自動車(EV)の普及と再生可能エネルギーの拡大に伴い、使用済みバッテリーの処理と再利用が社会的な課題として浮上しています。
バッテリーとは
バッテリー(電池)は、化学エネルギーを電気エネルギーに変換する装置です。現代社会において、スマートフォン、ノートパソコン、電気自動車など、様々な電子機器に電力を供給するために不可欠な存在です。バッテリー技術の進化は、私たちの生活を大きく変え、持続可能な社会の実現にも貢献しています。
リチウムイオン電池の研究
現在、最も普及しているリチウムイオン電池は、高いエネルギー密度と長い寿命を誇り、様々な電子機器に搭載されています。しかし、エネルギー密度、寿命、安全性、コストなど、更なる改善が求められていますが、新たなバッテリーとして注目されているのが、ソリッドステートバッテリー(全固体電池)です。
ソリッドステートバッテリーとは
電解質に液体ではなく固体を用いたバッテリーです。これにより、エネルギー密度、安全性、寿命が大幅に向上すると期待されています。
メリット
- 高いエネルギー密度:電気自動車の航続距離延長に貢献
- 高い安全性:発火や爆発のリスク低減
- 長い寿命:電池の劣化を抑制
- 急速充電:充電時間の短縮
デメリット
- 製造コストが高い
- 固体電解質の開発が難しい
- 実用化には時間がかかる
素材について
ソリッドステートバッテリーは、電解質に液体ではなく固体を用いた電池であり、その固体電解質の素材によって特性が大きく異なります。主な素材の種類と特徴は以下の通りです。
- 硫化物系固体電解
- 高いイオン伝導度を持ち、急速充電に適している。
- 比較的柔らかく、電極との密着性が高い。
- 硫化水素が発生するリスクがあるため、安全性に課題がある。
- 高出力が必要な電気自動車など。
- 酸化物系固体電解質
- 化学的に安定で、安全性が高い。
- 硫化物系に比べてイオン伝導度が低い。
- 硬く、電極との密着性を確保するのが難しい。
- 高い安全性が求められる定置型蓄電池など。
- 高分子系固体電解質
- 柔軟性があり、様々な形状に加工しやすい。
- イオン伝導度が比較的低い。
- 電極との密着性が高い。
- ウェアラブルデバイスやフレキシブルデバイスなど。
- その他
- 上記以外にも、リン酸塩系、窒化物系など、様々な固体電解質の研究開発が進められています。
- また、負極材には、リチウム金属、シリコンなどの材料が研究開発されています。
特徴:
用途:
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用途:
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用途:
バッテリーパスポート
バッテリーのライフサイクル全体における環境負荷を低減し、持続可能なバッテリーサプライチェーンを構築するための重要なツールです。
欧州電池規則
2027年以降、EU内で販売される全てのEV用バッテリーにバッテリーパスポートの導入が義務付けられます。
バッテリーパスポートに必要な項目
- バッテリーの化学組成
- 使用されている原材料
- 製造時のエネルギー消費量
- CO2排出量
- リサイクル情報
まとめ
高エネルギー密度、長寿命、高速充電が可能な新しいバッテリー技術の登場により、電気自動車の普及が加速し、再生可能エネルギーの利用が拡大すると予想されます。2027年2月から導入予定のバッテリーパスポート制度は、バッテリーのライフサイクル全体における環境負荷を低減し、持続可能な社会の実現に貢献すると予想されます。