エコリクコラム

2025.4.14
トピック
改正JICA法が可決、成立 途上国支援に民間資金活用を促進、より効率的なODAの実現へ
2025年4月9日、参議院本会議において、国際協力機構(JICA)が途上国支援に民間資金を活用しやすくするための改正JICA法が可決、成立しました。これにより、これまで以上に多様な資金源を活用した、より柔軟かつ効果的な途上国支援の推進が期待されます。
国際協力の担い手、JICAの役割
JICAは、日本の政府開発援助(ODA)の実施機関として、開発途上国への国際協力の中核的な役割を担っています。技術協力、無償資金協力、有償資金協力といった多様な手法を通じて、途上国の経済社会開発や人道支援に貢献してきました。
日本のODAとその現状
ODAは、開発途上国の経済発展や福祉向上を目的とした日本の公的な資金協力です。無償資金協力は、返済義務のない資金援助であり、基礎インフラ整備や保健・医療、教育といった分野で重要な役割を果たしています。しかしながら、その一方で、会計検査院の指摘にもあるように、2023年度末時点で1,561億円もの無償資金協力の資金がJICAに未使用のまま滞留しているという課題も存在します。これは、刻一刻と変化する国際情勢や途上国のニーズへの迅速な対応という観点から、改善が求められる点です。
改正JICA法の意義と期待
今回の改正JICA法は、このような背景を踏まえ、JICAがより積極的に民間資金を活用できるよう制度を整備するものです。具体的には、JICAが民間企業やNGOなど多様な主体と連携し、それぞれの知見や資金力を活かした新たな協力事業を展開することが可能になります。
これにより、ODAの枠組みだけでは対応が難しかった分野や、より大規模な開発課題への取り組みが期待されます。また、民間資金の導入は、事業の効率性や持続可能性を高める効果も期待されており、結果として、滞留しているODA資金のより有効な活用にも繋がる可能性があります。
改正JICA法の成立は、日本の国際協力が新たな段階を迎えることを意味します。ODAという公的資金に加え、民間の活力を取り込むことで、より多様で柔軟、そして効果的な途上国支援の実現が期待されます。今後は、JICAが改正法をどのように活用し、具体的な事業展開を進めていくのか、その動向が注目されます。この法改正が、日本の国際協力の質を向上させ、ひいては国際社会の平和と繁栄に貢献していくことが期待されます。
特に、近年、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資を含む世界のサステナブルファイナンスは拡大し、日本でも急速に関心が高まっていましたが、新興国や途上国向けのものは限定的でした。
今回のJICA法改訂により、社会的課題解決のための民間資金の動員につなげる、ブレンデッドファイナンスの促進が期待されます。
※ブレンデッドファイナンスとは
民間資金と公的資金、あるいは慈善資金を組み合わせることで、社会的課題の解決を支援する投融資手法です。特にリスクの高い分野や途上国の開発プロジェクトにおいて、民間資金の動員を促進するために導入されています。