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TotalEnergiesとAir Liquideの提携から見る水素の未来|グリーンジョブのエコリク コラム

2025.4.1

トピック

TotalEnergiesとAir Liquideの提携から見る水素の未来

グリーン水素で欧州製油所の脱炭素化を加速

2月18日、エネルギー大手のTotalEnergiesは、産業ガス大手Air Liquideと協力し、欧州における製油所での水素による脱炭素化を推進するため、オランダで2つの大型プロジェクトを開始することを発表しました。(※1)

(プロジェクト1:ゼーラント製油所向けグリーン水素製造)

TotalEnergiesとAir Liquideは合弁会社を設立し、ゼーラント製油所近くに250MWの電解槽を建設・運営します。
2029年の稼働開始を目指し、年間最大3万トンのグリーン水素を生産します。
このグリーン水素は主にゼーラント製油所に供給され、同製油所のCO2排出量を年間最大30万トン削減することが期待されています。

(プロジェクト2:アントワープ製油所向けグリーン水素供給)

TotalEnergiesは、Air Liquideがマースフラクテで開発中のELYgatorプロジェクトから130MW分のグリーン水素を調達します。 2027年末までに年間1万5,000トンのグリーン水素がアントワープ製油所に供給されます。 これにより、アントワープ製油所のCO2排出量を年間15万トン削減することが見込まれています。

製油所におけるCO2排出とその対策

製油所におけるCO2排出源は、主に燃焼炉やボイラーによる燃料燃焼により、製油所でのCO2排出量削減にむけて、Concawe PBL(オランダ環境評価庁)等で検討されています。

図1 CO2排出量削減施策・技術動向
出所)一般財団法人石油エネルギー技術センター『2022年度 JPECフォーラム「石油精製段階のエネルギー消費量・CO2排出量に関する解析」』(※2)

日本でも2023年7月に一般財団法人石油エネルギー技術センターが発表した「カーボンニュートラル社会に向けた製油所転換シナリオの検討」の結果では、製油所自体の CO2排出量(Scope 1,2)の削減効果が数十%レベルと高い対策はグリーン水素や CCS の導入であることがわかっています。

出所)一般財団法人石油エネルギー技術センター「カーボンニュートラル社会に向けた製油所転換シナリオの検討」(※3

世界の動き

世界エネルギー機関(IEA)によると、グリーン水素生産プロジェクトの発表は増加し、その中で最終投資決定(FID)に至ったプロジェクトは倍増したと2024年に発表しています。
IEAが2024年10月2日に発表した報告書「Global Hydrogen Review(GHR)2024」には、2023年の世界の水素生産量は9,700万トン、前年比2.5%増でした。
このうち、クリーン水素の割合は1%にも満たず、ほとんどが化石燃料由来の「グレー水素」です。
クリーン水素の生産は年間100万トン以下にとどまっており、さらにその多くは、化石燃料由来だが、精製時の二酸化炭素(CO2)を分離・回収して貯留するいわゆる「ブルー水素」と呼ばれるものです。
ブルー水素における投資計画の発表によると、米国がブルー水素のプロジェクトでは最も進んでおり、2030年時点のブルー水素生産量としては年間560万トンが見込まれます。
続いて欧州の生産が多く、2030年時点で350万トンが見込まれます。欧州では、英国、オランダ、ノルウェーにおけるプロジェクトが大半を占めています。

図2 水素には「グレー」「ブルー」「グリーン」がある?!
出所)資源エネルギー「次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?」(※4)

オランダと日本の比較

自然エネルギー財団サイトによると、オランダは国土が日本の9%です。
おおよそ北海道の半分程度の大きさであることがわかります。

出所)自然エネルギー財団「国土が日本の9%のオランダ、太陽光発電の年間導入量が世界トップ10に」(※5)

2020年のCO2排出量ランキングでは日本は5位でオランダは34位ですが、2016年の全世界の1人当たりのCO2排出量ランキングでは、日本は27位ですが、オランダは23位でした。
統計データが古いため、正確ではありませんが、オランダと人口が比較的近い、エクアドルとシリアのCO2排出量を比較すると、オランダは、エクアドルよりもCO2排出量の数値が約107,050も多く、3.72倍も高く、シリアよりもCO2排出量の数値が約120,630も多く、5.69倍も高いことがわかります。
オランダは、水素エネルギーの先進国として、これらの課題解決に向けた取り組みを積極的に進めています。
日本でも、グリーン水素の導入に向けた実証実験や技術開発が進められていますので今後の動向に注目が集まります。

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒 学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事 アニュアルレポート、統合報告書の作成 東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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