デジタルツインへの期待 | グリーンジョブのエコリク

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デジタルツインへの期待|グリーンジョブのエコリク コラム

2025.3.31

トピック

デジタルツインへの期待

2025年2月17日、欧州委員会共同研究センター(JRC)は、AIやデジタルツインなどの新たなイノベーションに関するレポートを発表しました。(※1
このレポートは、2024年に特定された221の「弱いシグナル」を分析し、12の技術分野に分類したものです。
レポートでは、ヨーロッパがこれらの分野における科学研究でリードしている一方で、米国や中国と比較して特許取得で遅れをとっていることが指摘されています。競争力を維持するためには戦略的投資が必要であり、特に特許ギャップの解消と、分断された研究開発環境の改善が重要であると提言しています。また、EUは新興技術の開発を支援することで、イノベーション、競争、持続可能な成長を促進し、市民の生活を向上させることができると強調しています。

分類された12の技術

  1. 先端材料・先端製造(全固体リチウム金属電池、再構成可能インテリジェント表面など)
  2. 航空宇宙[電動垂直離着陸(eVTOL)、持続可能な航空燃料(SAF)など]
  3. モビリティ・輸送〔ライダー(LiDAR)センサーを用いた自己位置推定とマッピング、6Gを活用した車車間・路車間通信〕
  4. デジタルツイン(都市デジタルツイン、医療分野のデジタルツインなど)
  5. AI・機械学習(説明可能なAI、連合学習など)
  6. 情報通信技術(ICT)(メタバース、ブロックチェーンなど)
  7. 医療画像処理(全身PET、MRIラジオミクスなど)
  8. 医療・バイオテクノロジー(mRNAワクチン、CAR-NK細胞療法など)
  9. e-ヘルス(AIを活用した医療診断、デジタル治療など)
  10. 環境・農業(培養肉、マイクロプラスチック分解など)
  11. エネルギー(グリーンアンモニア、SAFなど)
  12. 量子技術・暗号(ゲート型量子コンピューティング、超伝導量子プロセッサなど)

デジタルツインとは

デジタルツインとは、物理的なオブジェクトやシステムの仮想表現です。
センサーやその他のソースから収集されたデータを使用して作成され、物理的なオブジェクトやシステムの動作をシミュレートするために使用されます。 デジタルツインは、製造、医療、エネルギーなど、さまざまな産業で使用されています。効率の向上、コストの削減、より良い意思決定を可能にします。

2025年に向けたデジタルツインの進化

デジタルツインは、ますます高度化し、幅広い用途で使用されるようになっています。デジタルツインの開発における主なトレンドは以下のとおりです。

  • AIを使用して、デジタルツインをよりインテリジェントで応答性の高いものにする
  • IoTやブロックチェーンなどの他の技術とデジタルツインを統合する
  • 都市や電力網などの複雑なシステム向けのデジタルツインを開発する

デジタルツインの市場規模

デジタルツインの世界市場は、2024年の111億ドルから2029年には318億ドルに成長し、予測期間中の複合年間成長率(CAGR)は19.1%になると予測されています。アジア太平洋地域は、製造業や医療分野でのデジタルツインの導入が進んでいることから、最も急速に成長している市場になると予想されています。日本国内のデジタルツイン市場も同様に2025年から2033年にかけて成長することが予測されています。

デジタルツインのメリット、応用と未来展望

デジタルツインは、多くのメリットをもたらします。

  • 効率の向上
  • コストの削減
  • より良い意思決定
  • イノベーションの促進

期待される産業・業界の具体例と事例は以下の通りです。

製造業:

  • 製品設計:試作品を作る前に、デジタル上で設計の検証や最適化を行うことで、開発期間の短縮やコスト削減につながる。
  • 生産ラインの最適化:生産ラインのデジタルツインを作成し、シミュレーションを行うことで、生産効率の向上や不良品の削減につながる。
  • 品質管理:製品のデジタルツインを作成し、センサーデータと照らし合わせることで、品質の異常を早期に検知し、対応することができる。
  • 自動車メーカーが、車両のデジタルツインを作成し、衝突実験や走行シミュレーションを行うことで、安全性の高い車両開発に役立てている。

建設業:

  • 建物やインフラの設計、施工、維持管理:建物のデジタルツインを作成し、日射量や風向きなどの環境データをシミュレーションすることで、省エネ性能の高い建物の設計に役立てている。
  • スマートシティ開発において、都市全体のデジタルツインを作成し、交通量やエネルギー消費量などのデータを分析することで、効率的な都市運営に役立てている。

医療:

  • 患者の診断、治療、手術のシミュレーション:患者の臓器や血管のデジタルツインを作成し、手術のシミュレーションを行うことで、手術の成功率向上や患者の負担軽減につながる。
  • 患者の心臓のデジタルツインを作成し、血流シミュレーションを行うことで、最適な治療方法の選択に役立てている。

エネルギー:

  • 電力網の最適化、再生可能エネルギーの導入:電力網のデジタルツインを作成し、電力需要や発電量などのデータを分析することで、電力供給の安定化や再生可能エネルギーの効率的な導入に役立てている。
  • 風力発電所のデジタルツインを作成し、風速や風向きなどのデータを分析することで、発電効率の向上やメンテナンスの最適化に役立てている。

都市計画:

  • 都市の交通、環境、インフラの管理:都市全体のデジタルツインを作成し、交通量やエネルギー消費量などのデータを分析することで、効率的な都市運営に役立てている。
  • シンガポールでは、都市全体のデジタルツインを作成し、交通渋滞の緩和や災害対策に役立てている。

デジタルツインの課題

デジタルツインの開発と展開には、いくつかの課題もあります。

  • 高品質のデータが必要
  • デジタルツインの開発と維持が複雑
  • デジタルツインの実装コスト

デジタルツインの可能性について

課題はありますが、デジタルツインの未来は明るいです。技術の進歩に伴い、デジタルツインはより高度化し、より広く使用されるようになるでしょう。製造業から医療、エネルギーまで、幅広い産業でますます重要な役割を果たすでしょう。

デジタルツインは、私たちの社会や産業を大きく変革する可能性を秘めています。

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒 学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事 アニュアルレポート、統合報告書の作成 東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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