DX推進は自社にとってのDXが何かを定義する必要がある | グリーンジョブのエコリク

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DX推進は自社にとってのDXが何かを定義する必要がある|グリーンジョブのエコリク コラム

2025.3.5

トピック

DX推進は自社にとってのDXが何かを定義する必要がある

既存の仕組みとデジタルを組み合わせて変革を起こすDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が増していて、多くの企業ではデジタル技術の導入と運用を加速させています。
しかし、労働人口の減少とデジタル化への急速なシフトにより、IT技術とスキルを備えた人材が不足しています。IPA 調査分析ディスカッション・ペーパー2024-02「DX 動向 2024 – 深刻化する DX を推進する人材不足と課題」(※1)では、「DX 動向 2024 調査」(図表中では、2023 年度日本と記載)による DX を推進する人材の不足感は IPA が DX 動向調査を始めた 2021 年度の調査以降は増加し、「大幅に不足している」と回答する企業の割合 62.1%と調査開始以降初めて過半数を越え、DXを推進する人材の不足は深刻化していることがわかります。

特に人材不足として割合が高いのは「ビジネスアーキテクト」であり、次いで「データサイエンティスト」の順になります。
「ビジネスアーキテクト」は、DX推進をリードする人材であることから DXを推進する企業で高いニーズがあります。また、「データサイエンティスト」は、データ利活用需要がその背景となっています。

DXを推進していく中で大切なのは、自社にとってのDXの定義ではないかと考えています。

DX推進の問題点

企業内でのDXやデジタルに対する共通認識、特にデジタルとITの違いが形成されず、DXを推進しようとすると意思決定の段階で「デジタルとは何か?」の議論が繰り返され、意思決定・合意形成に至らず、計画は遅延します。

また、推進する内容が既存ITの延長線上の施策なのか、新たなデジタル施策なのかを決めておかないと、既存のIT施策の取り組みなのか、デジタル施策なのか、またその予算の境界線は何なのか不明確になり、社内で意思決定できるだけの判断材料にならず迷走する可能性があります。

企業がデジタル戦略立案前に、「デジタルを経営上にどう位置付けるか」、そして「自社にとってのデジタル」を定義し、共通認識を形成することが、DXを推進する上で必要です。

未経験領域

既存のIT施策は基幹システムや社内サーバー、端末のOS、ネットワーク、社内共通利用のウェブブラウザー、メールなどの業務ソフトの保守、メンテナンス、問い合せサポートなど、「守りのIT」になります。

DX推進で多くの企業が取り組むことが多いのは、AI/Cognitive(人工知能/認識技術)、AI-OCR(AIを用いた光学文字認識)、IoT、AR/MR(拡張現実/混合現実)、ブロックチェーンなどです。

これらは、まだ数年から数十年前に産まれた技術であり、他社での取り組み事例はあるものの、自社に適しているのか判断できるほどの情報がない場合もあり先述とは違い「攻めのDX」となります。

求める人物

攻めのDXに対応できる技術力を保有している人材とはどういうスキル、経験を有しているのでしょうか?

デジタル人材を求める際には「必要なDX組織機能の定義」→「必要なDX人材定義」→「必要なDX人材教育計画の立案」といった順で考える必要があります。 必要なDX組織機能の定義では、経営戦略として各部門から、デジタル化するための目的や、どの課題を解決するために導入するのかを導き出し、自社が目指すDX組織機能を導き出します。

次に必要なDX人材定義として、DX組織機能の役割を明確に定義したのちに、実行タスク、必要スキルの明確化を図り、必要な要員数を導き出します。

最後に必要なDX人材教育計画の立案では、現状のDX人材スキルを把握した上で、目指すべきDX人材スキルの目標地点を決定し、教育方法を導き出します。

この流れの中で、「DX組織機能の定義」や「必要なDX人材定義」が自社で出来ない場合は、ビジネスアーキテクトが不在であるということがわかります。
このビジネスアーキテクトの仕事内容は、一貫性のあるDX推進により、当初設定した目的の実現に責任をもち、関係者間の協力関係を構築し、取り組みをリードすることになります。

経験のないジャンルのビジネスに乗り出す際の実行役のため、「ビジネス改革」や「データ活用」の分野における知識と高い実践力が求められます。また、関係者間のコーディネートのためには、「テクノロジー」や「セキュリティ」の分野においても一定の知識や理解が必要です。
そして、ビジネスアーキテクトは、DXを実現するためにさまざまな人材と連携しながら業務を進める必要があります。

図1 「DX推進スキル標準」の人材類型の定義
出所 経済産業省HP「デジタルスキル標準」(※2

(デザイナーとの連携)

「デザイナー」は、ビジネスやユーザーの視点から製品・サービスをデザインする人材で、製品・サービスのアイデアについての連携が必要です。

(データサイエンティストとの連携)

「データサイエンティスト」は、DXにおけるデータ活用と、その仕組みづくりを担う人材で、データ分析の結果から得られた洞察や結果、どう実装、運用するのかで連携が必要です。

(ソフトウェアエンジニアとの連携)

「ソフトウェアエンジニア」は、DXに必要なシステムの設計・実装・運用を担う人材で、実際にどうシステム設計、実装するのかの要件定義、開発順位の決定などで連携が必要です。

(サイバーセキュリティとの連携)

「サイバーセキュリティ」は、サイバーセキュリティリスクの抑制を担う人材で、コストとのバランスを考慮した最適な対応策を検討する上で連携が必要です。

ビジネスアーキテクトは、企業のDX実現に欠かせない存在です。ビジネスアーキテクトには自社のビジネスへの理解や、関係者の協働をコーディネートするリーダーシップが求められます。
しかし、そのような人材は簡単に見つかるものではありません。
ビジネスアーキテクトと類似性がある職種としてプロダクトマネージャーがあり、必要なスキルと共通であると言われています。(※3

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

  

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒
学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事
アニュアルレポート、統合報告書の作成
東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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