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世界平均気温 産業革命以前比1.5度超上昇はどれだけの衝撃なのか|グリーンジョブのエコリク コラム

2025.2.19

トピック

世界平均気温 産業革命以前比1.5度超上昇はどれだけの衝撃なのか

2025年1月11日に、2024年の世界の平均気温が観測史上最も高く、産業革命以前と比べて1.5度以上上昇した初めての年になったと報道されました。
温暖化対策をめぐる国際ルール「パリ協定」では、産業革命以前からの気温上昇を1.5度以内に抑える目標を掲げ、各国が取り組みを行っていました。
けれど、人類の活動により、温室効果ガスの濃度が高まったことなどが主な要因で1.5度を超えてしまっています。 コペルニクス気候変動サービスは、「迅速に行動すれば、まだ未来は変えられる」と訴えていますが、この1.5度超の情報はどれだけの衝撃なのかを説明します。

2018年レポート

2018年12月にポーランド・カトヴィツェで開催されたCOP24 で、各国政府がパリ協定をめぐる交渉をする際の重要な科学的資料である「Global Warming of 1.5℃」ではこう書かれています。

“人為的な活動による世界全体の平均気温の上昇は2017年時点で約1.0°Cとなっており、現在の度合いで温暖化が進行すれば、2030〜52年の間に1.5°Cに達する可能性が高い。”

図1 Global Warming of 1.5℃
出所) 地球環境研究センターニュースサイト「1.5°C特別報告書のポイントと報告内容が示唆するもの気候変動の猛威に対し、国・自治体の“適応能力”強化を」(※1

2018年の段階では1.5度に達するのは2030年から52年の間と考えられていました。つまり、6年も早く1.5度に達してしまったことがわかります。

気象災害による影響

(気象災害増加傾向)

米国やカナダでは多数の大規模な山火事が発生し、欧州では、大雨により広範囲で洪水が発生していて気象災害が増加傾向です。
日本においても極端な大雨の強さが増大する傾向が見られ、アメダス地点の年最大72時間降水量には、1976年以降、10年あたり3.7%の上昇傾向が見られます。
これらの背景要因として、地球温暖化による気温の長期的な上昇傾向に伴い、大気中の水蒸気量も長期的に増加傾向にあることが考えられています。

気候変動問題は経済・金融リスクと認識されるようになっています。
スイス・リー・インスティテュートの2021年第1号シグマ調査誌及び最新の公表値によると、世界の1970年から2021年にかけての保険損害額の推移のうち気象に関連する大災害による保険損害額は増大していて、2025年1月7日にアメリカ・カリフォルニア州で発生した大規模な山火事では、今回の山火事に伴う保険金支払いによる税前ベースでの負担額について、東京海上ホールディングスが160億から250億円、MS&ADインシュアランスグループホールディングスが250億から370億円、SOMPOホールディングスが200億から300億円との試算を示していて、過去の災害損失の影響を基に算出しています。

(生態系へのリスク)

105,000種の生物の研究資料においては1.5℃以上の上昇の場合は6%の昆虫、8%の植物、4%の脊椎動物が絶滅すると予想されています。
森林へ予測され得る影響は、嵐、自然火災及び病害虫の発生の増加です。
具体的には、温暖で湿度の高い地域では、強風及び病原体が増加し、温暖で乾燥した地域では、森林火災、干ばつ及びバッタなどによる森林破壊などが進むと予想されています。


(飢餓へのリスク)

気候変動は、作物の生育や栽培適地の変化、病害虫・雑草の発生量や分布域の拡大、家畜の成長や繁殖、人工林の成長、水産資源の分布や生残に影響を及ぼし、食料や木材の供給や農林水産業に従事する人々の収入や生産方法に影響を及ぼすと予想されています。
この影響は、気温や水温、CO2濃度の上昇といった直接的な原因によるものと、水資源量の変化や自然生態系の変化を介した間接的な原因によるものがあります。
また、農林水産分野における気候変動の影響は、商業、流通業、国際貿易等にも波及することから、経済活動に及ぼす影響は大きいものと予想されています。
2023年に7億1,300万人から7億5,700万人が栄養不足となり、食料不安と栄養不良という問題に直面しています。
この深刻な食料不安をもたらした主な要因は気候変動と紛争です。
今後、世界の穀倉地帯で不作が続けばより食糧不安の影響を受ける数はさらに増えると予想されています。

気候変動問題には多くの協力が必要

南極から移動していた世界最大かつ最古の氷山「A23a」の一部が崩落したことを受け、氷山全体が崩壊し始める最初の兆候かもしれないとの見解を科学者が1月31日、明らかにしています。
「A23a」の存在そのものが、地球温暖化による南極の棚氷崩壊を象徴していて、地球温暖化が進むことで、氷山の分離が頻繁に起こり、それが地球規模での環境変化につながると指摘されています。
どのような経済活動も地球が存在していなければ意味を成しません。

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

  

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒
学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事
アニュアルレポート、統合報告書の作成
東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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