エコリクコラム

2025.2.6
トピック
リーダーに求められるものは何か?
リーダーとは、集団や組織を指導・統率し、目標達成に向けて導く役割を担う人を指します。 では、このリーダーに求められるものは何なのか。ハイクラスでの求人では『マネジメント能力』が求められることもあります。
中国古典から学ぶ
中国古典の名著 呂新吾の『呻吟語』(しんぎんご)には、大臣には6つの等級があると記されています。 この『呻吟語』とは、明の時代に貧窮にあえぐ民のために官僚として粉骨砕身した呂新吾が晩年書き上げた書物ですが、この等級の考え方はリーダーにも当てはまると思いますので一部を紹介したいと思います。
「深沈(しんちん)厚重(こうじゅう)なるは、これ第一等の資質。磊落(らいらく)豪雄(ごうゆう)なるは、これ第二等の資質。聡明(そうめい)才弁(さいべん)なるは、これ第三等の資質」
(どっしりと落ち着いて深みのある人物、これが第一等の資質である。積極的で細事にこだわらない人物、これは第二等の資質である。頭が切れて弁の立つ人物、これは第三等の資質に過ぎない)
一等級の人は「リーダーとして最も重要な資質は、常に物事を深く考える、重厚な性格だ」と記載がありますがこの「常に物事を深く考える、重厚な性格」を言い換えると「人格」に当たるのではと思います。
逆に三等級の人は「頭が良くて、才能があって、弁舌が立つ」と記載がありますが、能力が高いことは、リーダーとしての資質としては、3番目くらいでしかないという意味になります。
部下がリーダーに求めるもの
リーダーは部下に『優秀』であることを求める傾向があります。言い換えると上司は部下にIQの高さを求めていると言い換えてもいいでしょう。
では、部下は上司に何を求めているのか?
優秀でなんでもできる数値を残す人でしょうか?
離職率の改善でよく使われるエピソードを紹介したいと思います。
A氏の事業部には、親会社の社員と最近の買収で新たに加わった社員が混在していました。
このような状況の中、A氏は数字を上げることに注力して、新しいチームを知る努力をせず、また、チームに自分のことを知ってもらう努力もしていませんでした。
チームメンバーから見ると、A氏は自分たちをまったく気にかけず、唯一の関心事は、数字を出すことだけでした。
会社はA氏に、チームの離職率を改善するためのチャンスを与えることにしました。
A氏はアプローチを変え、チームメンバーに注力する時間を増やしたのです。
彼らがA氏のことをどう感じているかを尋ね、彼らに意見を求めました。
そして、A氏の考えや気持ちを伝えながら、どうすれば彼らが任務を遂行できるかを尋ねたのです。
その結果、離職率はすぐに低下しました。そして、他の成果指標も改善され続けました。A氏は、典型的なミスをしていました。数字にばかり気を取られて、リーダーとしてのEQの重要性を忘れていたのです。
このエピソードは、リーダーに求められるのはIQではなくEQであることを伝えるために使われることが多いです。
リーダーに求められるものは?
これからの時代に必要とされるリーダーとしての要素には、主に7つのことがあると京セラ・第二電電(現・KDDI)創業者であり、「盛和塾」塾長を務められた、稲盛和夫氏は言われています。
(1) 部下は大切なパートナーである
リーダーは、部下を大切なパートナーとして意識し、「頼りにしている」ということを言葉や姿勢で伝えることが大切だと述べられています。
(2) 相手のことを全力で考える
リーダーは、部下のことを全力で考えサポートする姿勢が必要です。稲盛和夫氏は「みんなに惚れ込んでもらう」とよく言われていました。
(3) 仕事に誰よりも前向きである
稲盛和夫氏は、部下の仕事に対する意欲を高めるため、仕事が終わったあとにその意義やどれだけの社会貢献になるのかを伝え続けたそうです。
リーダーは誰よりも前向きに仕事に取り組むことが求められます。
(4) 明確なビジョンをもつ
ビジョンを掲げて語ることは、夢を語ることと同じです。
リーダーとして、どんな夢を持っているのか、仕事を通じて、会社や部下がどうなってほしいのかを語りましょう。
(5) ミッションを確立する
経営理念のなかに「全従業員の幸福の追求」というキーワードを入れることで、社員のモチベーションは大きく向上し、業績アップにもつながったそうです。
企業が何を大事にしているのかを明確にして、伝えていきましょう。
(6) 自分の考え方や哲学をオープンにしておく
自分のことや考え方、生き方などをオープンにして相手に伝えていくことによって、自分に惚れ込んでもらうようにしましょう。
(7) 自らの心を高める
稲盛和夫氏は、リーダーやマネージャーの器の大きさが企業の発展に大きく関わると言われています。
この「器」は「心の大きさ」でもあり、部下についてきてもらうためには、人としての良い生き方や心の持ち方、行動が重要となります。
そのため、リーダーは自分で心を高める必要があるのです。