入社3年以内の転職は時代の流れなのか? | グリーンジョブのエコリク

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2025.2.3

トピック

入社3年以内の転職は時代の流れなのか?

一般的に新卒入社後3年以内に転職活動をする人は第二新卒と呼ばれています。
よくニュースでも話題になる若年層の離職・転職ですがここ最近の時代の流れなのでしょうか?

データからひも解いてみる

厚生労働省の資料「新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移」(※1)を見ると、昔から一定数の離職者がいることがわかります。

同調査では、「通常の勤務と比較した際の時間あたりの仕事の効率性の変化」という質問(通常勤務の効率性を100として、低下すれば100より下の数字、上昇すれば100より上の数字で回答)があります。

図1 新規学卒就職者の在職期間別離職率の推移
出所)厚生労働省資料(※1

上記表を見ていただければわかりますが、近年爆発的に入社後3年以内に離職する人が増えたわけではありませんが、時代により離職理由は異なっています。

このことは、労働政策研究・研修機構研究員 小林徹氏の論文「新規学卒者の就職先特徴の変化と早期離職の職場要因」(※2)内に記載があるためご紹介したいと思います。

この論文では大学卒業時の景気の影響以外にも、就職先の職場構成(産業・職業・企業規模構成)が変化したことによる要因や,同じ産業、職業、規模であっても時代により離職しやすい環境に変化している要因があるのではないかという仮説から要因分解を行ったものです。

要因分析の結果で過去と現在の差について3点の結論が導き出されています。

  • 1点目は、大企業を志望する学生だけでなく、専門職・技術職などのキャリアの習得を目指している学生が増加しています。
  • 2点目は、業務・就業のイメージができず、ミスマッチによる早期離職が増加しています。
  • 3点目は、法改正や産業の変化などにより、業界の不透明さなどの外的要因による離職が増加しています。

論文では、これからは一つ企業での勤続ではなく、転職を通じてキャリアを形成することで賃金を高めていくようになっていくと締めくくられています。

どういう離職理由が多いのか

図2 前職の離職を決意する決め手となった理由
出所)若者の離職理由(※3

労働政策研究・研修機構「若年者の離職理由と職場定着に関する調査」(※4)では、転職した者の上位として給与に不満(26.6%)、会社の将来・安定性に期待が持てない(22.6%)、労働時間が長い(21.8%)、仕事上のストレスが大きい(21.7%)があげられています。

厚生労働省の「令和4年雇用動向調査結果の概況」(※5)では、2021年に20歳~24歳で転職した方があげた主な転職理由は労働時間、休日などの労働条件が悪かった(14.2%)、職場の人間関係が好ましくなかった(12.8%)、給料など収入が少なかった(9.7%)があげられています。

労働環境や待遇だけではなく、将来性・安定性などビジョンの明確化やキャリアプラン、目指す人物像などが見えることも大事なのではと考えられます。

離職後の求職行動

図3 「若者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ」
独立行政法人労働政策研究・研修機構 調査シリーズ(※6

独立行政法人労働政策研究・研修機構 調査シリーズ「若者の離職状況と離職後のキャリア形成Ⅱ」(※6)では、離職後に行った求職活動では最終学歴により行動の差があることがわかります。

男性の場合は、大学・大学院卒では職業安定所の利用が3割程度とやや少なく、インターネット上の求人サイトや民間の職業紹介サービスの利用が多いことがわかります。
逆に高卒は、職業安定所の利用が4割を超えていて、民間の職業紹介サービスの利用が少ないことがわかります。
女性の場合は、職業安定所の利用については学歴による差は小さいです。

大学・大学院卒では、インターネット上の求人サイトや民間の職業紹介サービスの利用が多く、高卒では、新聞、雑誌等の求人広告の利用が多い傾向であることがわかります。

現在、ニュースでもある通り、多くの業界、企業は人材不足に悩んでいるために、第二新卒を採用して必要人員を充足させたいという考えが増えてきています。
そのため、新卒にこだわる必要性はないと考えて、第二新卒を広く採用する方向に人事戦略を変更する企業も多く存在します。

業界の最新動向

採用市場と密接に関わるのが企業の業績です。業績次第で採用の人数は大きく影響を受けますし、応募先を決めるときには、業界の勢い、成長度が気になるかと思います。
2024年後半から2025年度の業績見通しを表記している日経業界地図で、業界全体の売上が10%以上の伸びがある業界について一部をご紹介します。

  • 自動車・機械・造船業界では防衛産業。
  • IT業界では、ソフトウエア、クラウドサービス、ITサービス、人工知能、ビッグデータ、VR・AR産業。
  • 環境業界では、スマートグリッド、太陽光パネル、地熱発電、燃料電池。

があります。

また、サステナビリティ推進に取り組む日系大手グローバル企業が増えており、それにともない求人数も増加傾向にあります。

サステナビリティ・気候変動トレンドの文献紹介 一部

アメリカ合衆国・ニューヨークに本拠を置く、金融サービス企業であり、株価指数の算出や、ポートフォリオ分析など幅広いサービスを提供しているMSCIのレポートでは気候変動のトレンドについて記載されていますので一部をご紹介します。

アメリカでは気候変動の影響により、町に人が住めなくなり撤退するという事態がおきています。
そのため、環境・社会・ガバナンスのリスクは、今までは非財務リスクと考えられていましたが、財務リスクであることが、ここ10年で明らかになりました。2023年はアメリカは史上最も暑い年で、気候変動が家計、労働者、経済にもたらす直接的かつ具体的な課題が浮き彫りになりました。
そして、このリスクは時間の経過とともに増大の一途をたどる可能性が高いと見られています。

低炭素エネルギーへの移行により、きわめて大きな投資機会が生まれる可能性があります。プライマリー市場での投資の拡大と相まって、プライベートキャピタルは気候変動資金調達において重大な役割を果たす態勢が整いつつあります。
気候だけでなく、自然や生物多様性も優先的に取り組むべき分野として注目を集めており、サステナビリティを重視する投資家からは、生態系への影響を最小限に抑えるにはどうすればよいか、あるいは自然を基盤とした解決策に積極的に貢献するにはどうすればよいか、その答えが求められています。

持続可能な投資が成熟するにつれ、世界中の規制当局は、最終投資家に対する明確さを向上させるための措置を講じています。欧州連合では、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)の報告で急こう配の学習曲線をもたらしましたが、米国では、証券取引委員会の「ファンド名」規則は規範的な要素を軽減して明確な説明をするよう定められています。

今後、投資家からも企業からも質の高い情報開示が行われることで、イノベーションが戻ってくると期待しています。

このMSCIのレポートからもわかる通り、サステナビリティ領域において情報開示ニーズの増加グローバル評価機関の重要性が高まっていて、それに関連する求人が増えてきています。

サステナビリティ領域での求人ではもちろんハイクラス求人も多くありますが、新しい領域のため未経験からのキャリアチェンジが可能な職種も多数あります。社会課題の解決に直結するこの領域の仕事にご興味がある方は求人を確認ください。

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執筆者

神戸 修(こうべ おさむ)

  

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒
学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事
アニュアルレポート、統合報告書の作成
東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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