エコリクコラム
2024.4.4
トピック
太陽の恵みを十分に生かして!~日本の太陽光発電の現状~
気温にもよりけりですが、晴れている日は気持ちがよく、太陽の有難みを感じます。
昔、東京の大学を受験するために岩手から東北本線の電車に乗ると、向かいの席に秋田からの受験生が座っていました。彼は車窓の風景を眺めながら洗濯物が外に干されていることに驚いていました。秋田の家では冬は洗濯物を外に干すことはなく、雪が積もったら1階から出られないこともあると言っていました。同じ雪国の隣の県でも日本海側と太平洋側では生活が随分違うことに気づきました。
私が子供の頃は、道路に雪が積もり解けずに車が通るものだから、轍のようになっていましたが、今は盛岡では雪が積もることは滅多になく、地球温暖化を感じるので、秋田県も環境が変わっていることでしょう。
太陽光発電に向いている地域
2050年カーボンニュートラルを目指して、再生可能エネルギーの導入が急がれています。「エネルギー基本計画」では、2030年度の電源構成として再生可能エネルギーによる導入目標を36〜38%とし、そのうち太陽光発電は14〜16%としています。
日照時間が長い地域ほど太陽光発電に向いており、広い平地があれば大規模な設備の設置が可能です。しかしながら、南北に長く、東西で天気が違う日本では、太陽光発電の設置場所の確保が難しい地域もあり、都合のいい平地は既に住宅街になっています。
東京都の支援策
東京は広い土地の確保が難しく、建物の屋根を活用することにしました。
東京都では個別住宅や集合住宅向けに太陽光発電の設置に対して、様々な支援が行われています。個人住宅の場合は設置を建物の所有者が決められますが、分譲住宅の場合は管理組合で合意を得る必要があり、かなりハードルが高いです。しかし、導入したマンションでは、共用部分の電力を太陽光発電で賄い、停電時には非常用電源として使用できるので、補助金を得て設置したメリットは十分にあると考えられます。
営農型太陽光発電
今、太陽光発電の設置場所として、農地が注目されています。畑などの上に太陽光パネルを設置し、発電しながら作物を作るものです。作物の販売収入に加え、発電電力の自家利用等による農業経営の更なる改善が期待できます。
耕作放棄地を利用するケースも増えています。静岡県では、県の特産品であるお茶に着目し、耕作放棄地を茶畑に再利用して、その上部に太陽光パネルを設置しています。太陽光パネルを設置したことで、冬季から春季に起こる凍霜害を軽減でき、パネルの支柱は遮光ネットの固定に利用することができます。
ただ、太陽光パネルの設置により作物に届く日射量が減ったり、支柱が農作業の妨げになるため、営農型太陽光発電に向いている作物の取組み事例はまだまだ少ないです。
各国の電源構成(発電量)
筆者のコラム「何で作られた電気を使っていますか?」(※2)では、以下の6か国について発電量の電力構成を割合で示したグラフを作成しましたが、今回は発電量における経年グラフを示します。
グラフの太陽光発電(オレンジ色)に着目すると、日本は着実に発電量を増やしています。
下表より、イギリスとフランスの人口は日本の約半数です。イギリスの一人あたりの発電量は日本の約半分ですが、電源構成は再エネの割合が45.4%と高く、近いうちに50%を超えることでしょう。また、日本とフランスにおける一人あたりの発電量と再エネの割合はほぼ同じですが、グラフを見ると電源構成がまったく違います。フランスは原子力発電の割合が高い分、イギリスやドイツに比べ再エネによる発電の伸びが少ないです。
日本の太陽光発電の割合は2021年で8.2%、2022年で9.4%となっており、「エネルギー基本計画」における2030年度の導入目標14~16%を達成するためには太陽光発電に適した地域での導入と、土地や場所の活用が必須となります。 また、化石燃料による発電を減らし、再生可能エネルギーによる発電を増やすことはもちろん重要ですが、使う電力を減らすという努力もしていかなければなりません。なんでも電気で便利な世の中も楽ですが、校庭一面が雪で覆われ、休み時間はみんな外に出て雪合戦をし、濡れた手袋をストーブで乾かすという経験は懐かしく、良いものです。未来の子供たちに少しでも良い環境を残してあげたいものです。