「折り返し点」を迎えたSDGs…サステナビリティは進化したのか?! | グリーンジョブのエコリク

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「折り返し点」を迎えたSDGs…サステナビリティは進化したのか?!|グリーンジョブのエコリク コラム

2023.10.12

トピック

「折り返し点」を迎えたSDGs…サステナビリティは進化したのか?!

2015年9月の国連総会で、全ての国連加盟国の総意として採択された持続可能な開発目標(SDGs)。2016年から実施が始まり、ゴールイヤーの2030年に向けて、2023年はちょうど折り返し地点にあたります。そのために、SDGsの進捗に関するセミナーや報道を目にすることも増えていますね。ちょうど先月、9月18日には、ニューヨークの国連本部で4年に一度の国連総会の一環として、「SDGsサミット(首脳級の持続可能な開発に関するハイレベル政治フォーラム)」が開催されました。

皆さん自身のサステナビリティに関する評価はどのような認識になっているでしょうか? 最近の民間調査では「SDGs」という言葉自体の認知度は91.8%となり、調査開始以来はじめて、9割を超えたそうです。(※1)しかし、新型コロナウイルスの世界的拡大、ウクライナでの戦争、気候変動に起因する世界各地での異常気象や自然災害などにより私たちの未来はますます見通しが悪くなっているようにも感じます。

上述の「SDGsサミット」で採択された宣言は「SDGs達成は危機的状況にある」とされ、「大半の目標の進展があまりに遅すぎるか、もしくは15年の基準より後退している」と危機感が示されました。国連のグテーレス事務総長は、達成に向けて順調に進展している目標はわずか15%にとどまり、多くは逆行していると述べ、20カ国・地域(G20)首脳らにSDGsを達成するため少なくとも年間5,000億ドルを投じるよう求め、今すぐ行動を起こすよう訴えました。

ひるがえって、日本の状況はどうでしょうか?「持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)」という国際組織が毎年世界各国のSDGsの達成度調査結果を公開しています。(※2)6月に発表された2023年の調査では、日本は166カ国中21位で、前年(163カ国中19位)から2ランクダウンしてしまいました。

図1 日本のSDGsの達成状況
出所)持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN) 「Sustainable Development Report 2023」(※2

日本は、17の目標のうち、ジェンダー平等や気候変動対策など5つの目標が「最低評価」でした。ちなみに、調査は毎年、国連や各種の研究機関などの統計資料を基に各国の取り組みを100点満点で指標化して公開されています。ランキングの1位はフィンランド(86.8)で3年連続のトップ、2位がスウェーデン(86.0)、3位デンマーク(85.7)、4位ドイツ(83.4)、5位オーストラリア(82.3)と続きます。ちなみに、米国は39位(75.9)、中国は63位(72.0)となっています。 21位の日本は79.4で、上位のEU各国に続く状況ですが、ゴール5「ジェンダー平等を実現しよう」、ゴール12「つくる責任、使う責任」、ゴール13「気候変動に具体的な対策を」、ゴール14「海の豊かさを守ろう」、ゴール15「陸の豊かさも守ろう」の5つの目標が、最低評価の「深刻な課題がある」という残念な結果でした。

でも、自分の出会う様々な人々の個性を尊重してお互いに敬意を払ってコミュニケーションを重ねること、森や海・川や湖沼など身近な自然を楽しむこと、買い物の際にその背景を考えて商品の選択を行うこと等、むしろ私たち自身のウェルビーイングを支える身近なアクションが多いことを考えると、私たち一人ひとりの意識と行動が結果を変える方向に直結しているとも言えるでしょう。

著者プロフィール

佐々木 正顕(ささき まさあき)

佐々木 正顕(ささき まさあき)

一般社団法人サステイナビリティ人材開発機構 代表理事

関西大学 法学部卒 
大手ハウスメーカー入社後、経済団体主任研究員への出向等を経て、最終的に ESG経営推進本部 環境推進部において、持続可能性を反映した環境経営の施策立案や開示、社内浸透を推進後、現職。樹木医。

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