循環型社会に求められる行動変容 | グリーンジョブのエコリク

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循環型社会に求められる行動変容|グリーンジョブのエコリク コラム

2023.10.3

トピック

循環型社会に求められる行動変容

究極のダウンサイクル

着付け教室に通い、ようやく自分で着物が着られるようになると、自然と色々な方から着物をいただくようになりました。

サイズが合わない着物は、洗い張りといって着物を解いて1枚の布に縫い合わせ、反物状態に戻して水洗いし、生地の風合いを蘇らせ、自分のサイズに仕立て直すことができます。

着物として着られなくなったものは洋服などにリメイクし、またアップサイクルして小物やバッグなどに生まれ変わらせることもできます。そしていよいよ何にもならないと昔の人は雑巾としてボロボロになるまで布を使い切って最後は捨てる、と思っていました。ところがその先の使い道があったことを最近知りました。ボロ雑巾はかまどに焚べて燃料にし、燃えた後の灰は最後の最後は畑の肥料として撒いていたそうです。

絹や木綿の自然素材が最終的に自然に還るのだから、究極のダウンサイクルだと思いましたが、これからは廃棄することすら考え直さなければならないようです。

循環経済(サーキュラーエコノミー)

2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、資源の循環も非常に重要な取組となっており、サーキュラーエコノミーへの移行を加速させるために、環境省は循環型社会の方向性を示した「循環経済工程表」を2022年9月に策定しました(※1)。

図1 循環経済工程表の全体像
出所)環境省「令和5年版 環境白書 循環型社会白書/生物多様性白書」(※2

2050年に向けてのサーキュラーエコノミーの取組にあたって、環境的・経済的・社会的側面のすべてを統合的に向上させていくことが必要とされています。

2020年度の我が国における物質フローの状況は図2のとおりです。私たちが使っている資源の採取量・消費量・廃棄量をまず知ることが重要で、循環利用量は総物質投入量の15%ほどしか循環していない現状がわかります。

2050年の循環型社会に向けての環境的側面における絵姿(図3)は、色々な方向にくるくると循環していることが描かれています。3R(リデュース:廃棄物等の発生抑制・リユース:循環資源の再使用・リサイクル:再生利用)を徹底して実施することに加えて、原料のバイオマス化などの素材転換や再生可能資源への代替利用等のRenewableを図るものです。

図2 我が国における物質フロー(2020年度)
出所)環境省「令和5年版 環境白書 循環型社会白書/生物多様性白書」(※3
図3 3R+Renewableイメージ
出所)環境省「令和5年版 環境白書 循環型社会白書/生物多様性白書」(※2

リデュース

サーキュラーエコノミーへの取組において、3Rの優先順位は1位リデュース、2位リユース、3位リサイクルとしています。

図4 3Rの優先度
出所)環境省ウェブサイトエコジン「【特集】3R徹底宣言!」(※4

リユースやリサイクルが難しい製品について、リデュースへの取組が進められています。

今までは使い捨てしていた食品用ラップも、オーストラリアではミツロウラップという、洗って繰り返し使える商品があります。ロフトが実施している、環境に配慮して作られた商品やサステナブルをテーマに企画開発した商品などを提案しているグリーンプロジェクトのイベントでいただいた繰り返し使える食品用シリコンラップ蓋は、スペインのブランド”Lekue(ルクエ)”の物でした。

図5 食品用シリコンラップ蓋
出所)筆者所有

レジ袋が有料化となり、エコバッグを持って歩く生活も自然と日常になっていました。いつの間にかリデュースに取り組んでいます。サーキュラーエコノミーへの取組では、私たちのこのような行動変容が求められているのです。

着物はすでに日常着るものからかけ離れてしまっているので、灰で畑に撒くまで使い切ることは難しくなりました。ただ、箪笥の肥やしにしておくのはもったいないので、いただいた着物をせっせと着てリユースしたいと思います。

 

著者プロフィール

亀本 裕子(かめもと ゆうこ)

亀本 裕子(かめもと ゆうこ)

岩手県立一関第一高等学校理数科卒 法政大学工学部建築学科卒

設計事務所に勤めた後、結婚を機に夫の赴任先であるアメリカに滞在、帰国後、シンクタンクで働いている。国土基盤、エネルギー、環境の分野は建築とはそう遠からず。一児の母であり、建築家の妻でもある。

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