「パーパス経営」が生まれた本当の訳と活用法(3) – 「パーパス」とは「実現したい社会」のこと! – | グリーンジョブのエコリク

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2023.5.29

トピック

「パーパス経営」が生まれた本当の訳と活用法(3)
– 「パーパス」とは「実現したい社会」のこと! –

「パーパス」とは「実現したい社会」のこと!

長期的に投資する側の視点で、出資する立場に立って、考えてみてください。

自分たちは法律違反はしませんと言っているだけの企業Xと、(法律違反しないのは当然で、それは企業として社会に存在する最低限の資格にすぎず)自分たちは、これからの社会はどのようになるという予測のもとに、そのような社会の構築にどう関わり、その社会で多くの人々の暮らしをどう支えて、社会にも支持される、そんな経営を進めていきますといっている企業Y。
さて、大事なお金をどちらに託しましょうか?

これをイメージ的に整理したのが次の図です。

   

個人が短期で投資するなら、デイトレスタイルで株価をウォッチしながら、利益が出ている企業に投資して、株価が上がればパッと売り抜けるスタイルもアリですね(最近はAIがそれをやってくれますが)。

しかし、長期で大量の資金を運用する場合は、リスクヘッジが必要ですから、個別に良い企業を選んで投資する「アクティブ運用」は現実的ではありません。そこで、幅広い投資先に投資して持ち続け、市場全体の動きに連動した「パッシブ運用」を選択することになります。これが、ESG要因を組み込んだ指数への投資(インデックスのポートフォリオ)が普及している理由です。

「パーパス」を単に「目的・社会的意義」と言い換えてしまうと、立派ですがそれは貴社のお考えでしょう、で終わってしまいかねません。拡がりは見えてきませんし、企業のポテンシャルも感じられない。しかし、「パーパス」を「実現しようとする社会像」とみてみるとそこに関わる関係者の顔や役割、ボトルネックや、それを推進するドライバーの姿・形がだんだん浮かび上がってくるはずです。そこで初めて、企業はそのフィールドでの自社の役割、稼ぐための関わり方が具体化し、経営に落とし込めるのです。

まとめましょう。
「パーパス経営」が、資産運用会社によって、長期的・持続的成長の文脈で生み出されたコンセプトである以上、それは企業の「稼ぐ力」を加速するためのツールでした。つまり、企業は新たな社会像とそこで輝く価値を可視化・言語化することで自らの「活躍のフィールド、ドメイン」を創出できます。そして、その素晴らしさを生活者に対して伝えることで「市場」を生み出して、そこでビジネスすることが出来るのです。だからこそ、それが「企業の持続的成長の原動力になる」と強調されたのです。

ここまで、投資するなら…、という前提で説明しましたが、就職先として理想の企業を発見する場合も、実は視点は全く同じです。企業に入社するということは、お金以上に大切な自分の長い人生の時間をその企業に「投資」することになる訳ですから。企業の選択に際しては、ぜひ、その企業の「パーパス」に注目してみてください。

企業に就職することは、単に人生の時間の投資というにとどまりません。働く人のパーパスと企業のパーパスが共鳴すれば新たなシナジーが生まれ、そこでの仕事が新たなる未来を拓き、生きがいのある人生となるのではないでしょうか?

著者プロフィール

佐々木 正顕(ささき まさあき)

佐々木 正顕(ささき まさあき)

一般社団法人サステイナビリティ人材開発機構 代表理事

関西大学 法学部卒 
大手ハウスメーカー入社後、経済団体主任研究員への出向等を経て、最終的に ESG経営推進本部 環境推進部において、持続可能性を反映した環境経営の施策立案や開示、社内浸透を推進後、現職。樹木医。

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