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2023.4.6

トピック

何で作られた電気を使っていますか?

電気料金の値上げを受けて

電気料金がまた値上がりします。去年からのウクライナ情勢により、輸入に頼っていた石炭やLNGの価格が高騰している影響です。

子供の頃、電気をつけっぱなしにしないよう親に言われたことはどなたもあると思います。「無駄な電気を使わない」イコール「余計な電気料金を支出しない」ということだと思っていました。そして、東日本大震災後、 原子力発電所からの電力供給が一時期なくなり、計画停電を経験して、電気の消費を減らす「節電」という考え方が広まりました。電気料金の値上げは、「支出を減らす」という意味でも節電する人が増え、電気はなるべく使わないようにするという考えが染み渡ってきています。

ところが、オール電化や電気自動車の普及が進み、電気を使うことを勧められています。その電気は、化石燃料によって発電されている「電気」ではなく、再生可能エネルギーによる「電気」を使う形になってきています。

2050年カーボンニュートラルを目指し、二酸化炭素の排出量を下げるために、化石燃料を使わず、再生可能エネルギーに変えていかなければなりません。

電源構成

電気にはどこで何から作られたものなのか分かり難いという問題があり、原子力発電によるものなのか、火力発電によるものなのか、太陽光発電のような再生可能エネルギー由来のものなのか、区別がつき難いのです(エコリクコラム「電気料金値上がりします!-エネルギーの選択-」2021年2月(※1))。

電力自由化により、大手10電力会社以外と電気を契約できるようになりました。現在、すでに大手以外と契約している人は自分が何由来の電気を使いたいのか選択していると思います。そして、大体は再生可能エネルギーによる電気を選択していることでしょう。

では、各国は何から電気をつくっているのでしょうか。
ヨーロッパでも、イギリス、ドイツ、フランスでは全く電源構成が違うことが下図から分かると思います。極端な例としてフランスと中国のグラフを並べてみましたが、フランスは主に原子力発電から、中国は主に石炭による火力発電で電気を作っていることが分かります。そして、どの国も再生可能エネルギーによる割合が年々増えていることも分かります。

注)5年毎のデータをグラフ化しているので、グラフが粗いことにご留意ください。

   

図1 各国の電源構成(発電量)1990〜2020年 出所)IEA,Data Browserの各国の5年毎データより筆者作成(※2

   

我が国の電源構成

2010年度(東日本大震災は2011年3月)から、2050年カーボンニュートラルに向けて、日本の電源構成は以下のようになっています。 再生可能エネルギーによる発電と原子力発電を含むゼロエミッション電源の割合は、2021年度は27.1%となり、2010年度の34.6%に戻りつつありますが、その構成は全く違うものです。

図2 我が国の電源構成(発電量)2010〜2021年度
出所)資源エネルギー庁「総合エネルギー統計 時系列表(令和4年11月22日公表)」より筆者作成(※3

   

電気自動車

最近では、ハイブリッド車や電気自動車の話題を聞くことが増えてきたと思います。

著者の前回のエコリクコラム「急速に広まるグリーンジョブ -太陽光発電」(※4)において、電気自動車の導入と一緒に太陽光発電の設置を考えて欲しいと書きました。自治体では公用車として電気自動車を導入するところが増え、災害時には蓄電池用として活用することが想定されています。また電気自動車の導入と同時に庁舎や道の駅などへの充電設備の設置が進められています。

電気自動車はまだまだ値段が高いので、一般の人が気楽に買えるものではないと他人事としてお考えかもしれませんが、海外では電気自動車への買い替えが迫っているのです。EUでは、2035年以降に新車販売される乗用車等を電気自動車に変える動きがあります。

私は今、人生3台目の車に乗っており、2台目は気に入って廃車にするまで乗りつぶしたので、この車もあと10年以上は乗るつもりでいますが、次は電気自動車になるかもしれないと思うようになりました。または、車を手放してシェアサービスを利用するというチョイスも考えられます。

コロナも落ち着いたので、久しぶりに外出しようと交通ルートのネット検索をしたら、その移動に伴うCO2排出量が記載されていました。こんなところからもひたひたとカーボンニュートラルへの道が進んでいます。普段、考えもしない自分の行動からもCO2が排出されています。地球に優しいのは、なるべく歩くか自転車に乗ることですね。

著者プロフィール

亀本 裕子(かめもと ゆうこ)

亀本 裕子(かめもと ゆうこ)

岩手県立一関第一高等学校理数科卒 法政大学工学部建築学科卒

設計事務所に勤めた後、結婚を機に夫の赴任先であるアメリカに滞在、帰国後、シンクタンクで働いている。国土基盤、エネルギー、環境の分野は建築とはそう遠からず。一児の母であり、建築家の妻でもある。

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