エコリクコラム
2023.1.16
トピック
急速に広まるグリーンジョブ -太陽光発電
停電
久しぶりに冬に岩手県の実家に帰り、一軒家の寒さを改めて感じました。東京育ちの夫を初めて正月に連れて行ったとき、おせち料理を廊下に出していたら夫が驚いていたことを思い出しました。冷蔵庫より廊下のほうが温度が低いのです。部屋には暖房が入っているので暖かいのですが、廊下に出るたびに震え上がります。
そして、2022年の年末に新潟県で起きた停電では、さぞ寒い思いをされたことと心配しました。
災害時の電気自動車
こういう時に電気自動車があったら、停電が復旧するまでの数日間を電気自動車から給電して暖かく過ごせるのにと思いました。一般的な家庭の一日の使用電力量は約12kWhで、日産自動車の電気自動車「日産リーフe+」の場合、バッテリー容量が60kWhあるので約4日間過ごせます(※1)。
2019年9月に台風15号が通過した折に千葉県で起きた大規模停電では、日産自動車から「日産リーフ」がたくさん提供され、避難所や福祉施設で携帯電話の充電や照明、扇風機などに蓄電池として活用されました。その後、自治体では電気自動車のメーカーと非常時に電気自動車を提供してもらう災害連携協定の締結が進んでいます。
また、公用車を電気自動車にする自治体も増え、充電設備を庁舎や道の駅などに導入しています。そして、電気自動車の普及のために導入補助金も出しています。
電気自動車と一緒に考えたい太陽光発電
自治体の避難所では災害時の対策として、太陽光発電と蓄電池を備えるところが増えています。まずは避難所の電源を普段から準備し、非常時には電気自動車からも給電できる体制を整えつつあります。
そして東京都では、2022年12月に「都民の健康と安全を確保する環境に関する条例(環境確保条例)」の改正案が可決され、2025年7月から施行されます。それにより、一定規模の住宅を供給するハウスメーカーなどに対して、太陽光発電を設置して販売することが新たに義務付けられました。また、電気自動車などZEV(Zero Emission Vehicle)の充電設備の整備も求められています。
住宅に太陽光発電があれば、光熱費が削減され、停電時でも電気を使うことができ、再生可能エネルギーの利用でCO2削減にも寄与します。そして、電気自動車と充電設備があれば、停電時に周りの人も助けられます。
東京都は2030年カーボンハーフの実現に向けて、2019年度の3倍以上の太陽光発電の導入を目標にしました。海外をみれば、カリフォルニア州ではすでに州内すべての新築低層住宅に対して太陽光発電の設置が義務化されています。日本でも2011年FIT以降、大規模太陽光発電の設置に関する人材が求められ、さらに直近では家庭用太陽光の促進や、新制度に対応した事業の企画ができる人材が求められています。
太陽光発電に関する仕事
太陽光発電には、発電した電気を自ら使用する「自家消費型」と発電した電気をすべて電力会社に売る「全量売電型」があります。また、「自家消費型」には発電した電気をすべて消費する「完全自家消費型」と余った電気を電力会社に売る「余剰売電型」があります。仕事内容はメーカー等を除き概ね3タイプに分けられます。
1.太陽光発電の企画・調査
太陽光発電の導入を検討している法人や個人に対し、要望や条件に合った太陽光発電システムを企画し、提案を行います。個人の住宅の屋根に設置する場合、近隣建物による影の位置や屋根に適したシステムを提案します。また、設置する場所や地域の特性を調査して、最適なシステムを提案します。
2.太陽光発電の設計・施工
設計は、太陽光発電設置者の目的と予算などに合わせ、電気や構造などの太陽光発電システムの設計を基準や法規・法令に則して行います。施工は、工程や安全、予算管理を行いながら設計された太陽光発電システムの建設や設置を行います。
3.太陽光発電のメンテナンス
太陽光発電設備の定期点検や稼働状況の監視などを行います。また、設備の不具合の対応や発電設備周辺の管理も行います。太陽光発電設備は20年以上稼働するのでその間対応が必要になります。
そのほか、太陽光パネルのリサイクル技術が進んでおり、今後、耐用年数を過ぎた太陽光パネルが大量に出ることが予想されるので、リサイクルに関する仕事も増えると考えられます。
再生可能エネルギーの中では比較的導入しやすい太陽光発電の普及が進むことを災害による停電が起こるたびに願っています。