エコリクコラム
2022.10.5
トピック
自然と共存するグリーンジョブ
自然と共存するための環境アセスメント
風力発電等の開発事業を行う際に環境にどのような影響を及ぼすか、環境アセスメントを行います。事業者はあらかじめ調査、予測、評価を行い、その結果を公表して意見を聞き、事業計画を作ります。配慮書、方法書、準備書、評価書と段階を踏み、ようやく事業の実施となります。計画から建設にたどり着くまで、それはもう莫大な時間がかかり、途中で頓挫して事業が廃止になることもあり、規模が縮小されることはよくあることで、計画がすんなり進むことの方が珍しいです。見守ってきた事業が運開したと聞くと、我が子のことのように喜んでしまいます。
以下の日本における風力発電の導入推移のグラフを見ると年々増えていることがわかります。
そして、世界と比べると、日本の導入量はまだまだ少ないこともわかります。
洋上風力発電の人材ニーズ
2050年のカーボンニュートラルを目指して、再生可能エネルギーの開発がますます進む、進めなければならない状況です。風力発電はさらに加速して作られることになるでしょう。
そして、最近では、洋上風力発電の開発が日本でも行われるようになりました。今後、以下の地図に示されている区域において、洋上風力の計画が増えると予想されます。オランダの洋上に風力発電の白い風車が並んでいる写真を見たことがあると思いますが、そのうち日本でも日本海や九州の海域でそのような風景が見られるようになりそうです。
一般社団法人日本風力発電協会(JWPA)から「洋上風力スキルガイド」が出されました。これから必要とされる洋上風力発電における人材育成のためのガイドブックです。
風力発電事業は、調査・開発から始まり、設計・建設工事、メンテナンスまで洋上・陸上ともに生かされる共通の職種があります。また、洋上風力は陸上とは違う特有の困難な工事があり、そのためのスキルが要求されます。
そして、洋上風力発電の規模は陸上よりも桁違いに大きいです。数も多ければ、総発電量も大きくなり、携わる人数も多くなります。今後、導入が加速的に進むと思われる洋上風力発電に関するスキルを持った人材が多く必要とされます。
このガイドブックに掲載されている、2050年カーボンニュートラルに向けた中間地点の2032年における英国の洋上風力に関わる雇用者数のグラフを見れば、いかにその人材が必要とされているかわかると思います。
これは洋上風力のみの予想雇用者数ですが、同様に陸上の風力発電にもさらに人材が必要となります。
自然との折り合い
普段見慣れている風景の中にも風力発電が見られるようになってきました。岩手には北上山地にイヌワシが生息しており、環境アセスメントを行って風力発電が設置されていますが、これからも私達は共存していかなければなりません。
余談ですが、岩手県の盛岡市内から車で10分くらい行ったところにある、町のすぐそばの山に位置するZOOMOという動物公園で起こった面白い話を聞きました。
野生の熊が深夜にこっそり動物園に忍び込んでいたそうです。防犯カメラに熊が映っていて、園の外にある木の枝が園内に伸びていたところを伝って入ったようです。
そして、園にはニホンカモシカが居るのですが、自然のカモシカ家族も園内の檻の外に住み着いているそうです。人間が動物園という囲いを作ったけれども、野生の動物にしてみればそんなことは関係なかったようです。
また、ZOOMOにある動物病院では、園内の動物だけでなく、怪我をした野生動物も運ばれて来て、治療をしてまた自然に戻しているそうです。生き物に区別はないのです。
現在、園では2023年春のリニューアルオープンに向けて工事が行われています。しかしながら、その動物病院は老朽化が進んでいるのに建て替える資金がなく、工事の目処も立っていないそうです。岩手の自然を背負っている動物病院に企業版ふるさと納税等でお金が集まるしくみがつくられるといいですね。
これからも自然界と人間の営みをなんとか折り合いをつけてうまくやっていきたいものです。