エコリクコラム
2022.7.7
トピック
森とともに生きるグリーンジョブ
ボルネオの森
コロナ禍となり、仕事は完全テレワークになったので、往復2時間の通勤時間が突然空いてしまいました。また、ランチ時間に会社の同僚としていた、たわいもない会話をする機会もなくなりました。その空いた時間でインスタグラムを始めたら、行ったこともない地域や国の知らない人と繋がることができ、会ったこともない人とのコミュニケーションを楽しんでいます。
そして、自分が使っている掃除用品を扱っている会社「エコンフォートハウス」をインスタグラムで知りました。お店に行ってみると、ドイツの衣類のシミ抜きから北欧のブランケットまで、あらゆる商品を扱っていました。お店の発足をお伺いすると、ペットボトルが日本に普及し始めた時に、海外からペットボトルを処分する機械を輸入したそうです。既に海外では商品の廃棄に至るまで環境への意識は早かったのだと知りました。それからエコンフォートハウスでは環境へ配慮した商品を発し続けています。
その中で、夫が普段、掃除で使っているスポンジワイプを扱っていることを知りました。洗面所など水回りに1つずつ置いてあり、水栓を使った後に付いた水滴を拭いています。日本では掃除イコール雑巾というイメージですが、これは雑巾の糸くずが落ちることがなく、吸水力があり、すぐ乾きます。
そのスポンジワイプの説明書に目が止まりました。商品1枚に付き3円がボルネオの森の再生に寄付されるというのです。ボルネオの熱帯雨林は二酸化炭素を吸収して貯蔵する量が多いそうです。これまで森林ならどこでも効果は同じと思っていたのですが、果たして日本の森林はどうなっているのか興味を持ちました。
日本の森林事情
日本は国土の65%が森林で、人工林の占める割合は国土の1/4です。
ところが下のグラスを見ると、日本における森林面積が人口の増加とともに急激に減り、宅地化されていることがよくわかります。また、それと同時に人工林も増えています。森林は戦争や人口増加による燃料等に使われ、減ってしまいましたが、昔の人が植林を行い、現代の私たち日本人のために森として残してくれた財産です。
最近では、企業の環境活動の一環として、社員やその家族が植林を行っている企業が増えています。
木質バイオマス発電関連のグリーンジョブ
第6次エネルギー計画において、2030年に向けて再生可能エネルギーが電源構成の主力電源となり、木質バイオマス発電はそのうちの5/38を担うことを目指しています。
木質バイオマス発電は太陽光発電や風力発電と違い、気候に影響されにくく、安定供給できます。資源エネルギー庁の「木質バイオマス発電における人材育成テキスト」では、火力発電で培った技術がそのままバイオマス発電に生かされ、様々な段階での職業を生み出しています。もっと広い範囲で言えば、木を切り出し、木材やペレットにして流通させ、様々な分野で利用させるところまで、木質バイオマス発電に絡むグリーンジョブにあたると思います。
バイオマスエネルギーを導入した事例を調べると、最初は荒廃した森林を何とかせねばという危機から始まったところがあります。山が荒れれば自然災害の危険が増え、山の生き物が里へ降りて来るなど被害が深刻になり、地元において課題解決が迫られていました。その解決として森林を整備するために山から木を切り出し、間伐材などをペレットやチップに加工し、燃料として利用しています。
木質バイオマスは発電に利用するほか、ボイラーの燃料となり、熱供給にも利用可能です。熱利用する場合、熱供給源に近い方がエネルギーの損失も少なく、必然的に地域で利用されることになります。地域で生産され、地域で消費することにより、地域内で経済がまわる構造、すなわち、地域のお金が外部に流出しないのです。よく言われている「地産地消」は野菜だけの話ではありません。そして、新しい雇用も生み出されています。
最近の電力ひっ迫を考えて
東京電力管内における電力ひっ迫により、電源構成の話題が身近に感じられる事態となりました。2050年のカーボンニュートラルまでそれほど待っていられない状況にあります。また、ロシアのウクライナ侵攻はヨーロッパ各国のエネルギー事情を知る機会になりました。宿題を先延ばしにするのではなく、欧米のように1日も早くカーボンニュートラルの世界に近づく必要があります。
温室効果ガスの排出を減らす木質バイオマスエネルギー関連で働くか、二酸化炭素を吸着する森林を増やす仕事につくか、どちらも森とともに生きる素晴らしい職業になると思います。