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トリニクって何の肉!?−レジ袋の原料を考えてみる−

2020.8.18

トピック

トリニクって何の肉!?−レジ袋の原料を考えてみる−

テレビ朝日系列で放送されている番組で、昭和生まれの人が平成生まれの若者に昭和世代は知っていて当たり前の常識をクイズで出題するというバラエティ番組があります。「トリニクって何の肉!?そんなコト考えた事なかったクイズ」というタイトルが付いています。最初の番組での問題が、「牛肉は牛の肉、豚肉は豚の肉、さてトリニクは何の肉でしょうか?」というものでした。そのような問題で番組が成り立つのだろうかと疑いましたが、「鳥」などと回答して数人が不正解でした。鳥の種類を回答してほしかったようで、正解は「鶏(ニワトリ)」でした。
息子が小さかった頃、魚は「切り身」で泳いでいると思っている子供がいるとテレビで知り、慌てて息子に聞いたことを覚えています。この番組と似たような話だと思いました。番組は「そんなことは考えたこともなかった」ということがあることを意味しているのです。これまで興味もなかったので、それが何か考えたことも知ろうとしたこともなかったということなのです。

さて、7月1日からプラスチック製買物袋、いわゆる「レジ袋」が有料になりました。マイバッグを持参するとポイントが付いていた頃は、うっかり忘れてもレジ袋をもらうことに抵抗は感じませんでしたが、これまでタダだったものに3円5円払うとなると話が違います。
経済産業省のホームページでは以下のように、資源面からと環境面からレジ袋が必要かどうか考え、ライフスタイルの見直しのきっかけにする、と説明されています。

プラスチックは、非常に便利な素材です。成形しやすく、軽くて丈夫で密閉性も高いため、製品の軽量化や食品ロスの削減など、あらゆる分野で私たちの生活に貢献しています。一方で、廃棄物・資源制約、海洋プラスチックごみ問題、地球温暖化などの課題もあります。私たちは、プラスチックの過剰な使用を抑制し、賢く利用していく必要があります。
このような状況を踏まえ、令和2年7月1日より、全国でプラスチック製買物袋の有料化を行うこととなりました。これは、普段何気なくもらっているレジ袋を有料化することで、それが本当に必要かを考えていただき、私たちのライフスタイルを見直すきっかけとすることを目的としています。

経済産業省ホームページ(※1

それでは、そもそもレジ袋は何から作られているのかを考える良い機会だと思うので、レジ袋ができるまでを簡単に紹介します。

  • 「原油」を蒸留・精製して、石油製品と呼ばれる「ナフサ」を作ります。
  • 「ナフサ」を加熱・分解して、石油化学基礎製品と呼ばれる「エチレン、プロピレンなど」に変えます。
  • 「エチレン、プロピレンなど」の分子を化学的に結合させて、ポリマーと呼ばれる「ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など」をつくります。
  • 「ポリエチレン(PE)」を成形加工して、プラスチック製品と呼ばれる「レジ袋」ができます。レジ袋のリサイクルマークの下には「PE」と記載されています。

つまり、レジ袋は原油から作られているので、地球資源に影響があるのです。

図1 原油からレジ袋ができるまで
図1) 原油からレジ袋ができるまで

さらに、環境面ではプラスチックのストローがウミガメの鼻にささっている痛ましい映像は記憶に残っていることと思います。それがきっかけで海洋プラスチックゴミ問題は地球環境問題であるとテレビで取り上げられたので、レジ袋の環境への影響は明白だと思います。

また、有料化されたレジ袋だけ注目を浴びていますが、その反面、有料化とならないレジ袋もありますので、以下に示しておきます。

図2 有料化とならないレジ袋
図2) 有料化とならないレジ袋
出所)経済産業省「プラスチック製買物袋の有料化~2020年7月1日スタート~」令和2年2月(※2

余談ですが、アメリカのゴミ収集車は豪快です。誰もがイメージするキャスター付きのゴミ箱を、決まった曜日の前夜に家の前の道路に出しておくと、運転手一人しか乗っていない巨大なゴミ収集車が来て、アームをゴミ箱に伸ばし、持ち上げて車にゴミを放り投げ入れます。自治体によっても多少違いますが、カリフォルニア州における一戸建て住宅の家庭用ゴミの分別は、「リサイクル」「普通ゴミ」「庭の草木など」用の3種類のゴミ箱に分けて入れます。「リサイクル」のゴミ箱には、プラスチック、瓶、缶、紙類を分けずに一緒にそのまま入れます。リサイクルを細かく分類して行う日本とはかなり違います。また、カリフォルニア州では再利用可能なレジ袋を有料で購入でき、日本のレジ袋と比べ、かなり厚みがあり丈夫です。

図3 アメリカのゴミ収集車
図3) アメリカのゴミ収集車

インターネットで何でも手軽に調べられるようになりましたが、いつでも調べられるので知ろうとしないことも多くなりました。何かの機会があれば興味を持ち、知りたい気持ちを持ち続けたいと思います。 新入社員やお子さんも「トリニクが何の肉か」なんて「そんなこと考えたこともなかった」かもしれません。聞いてみてはいかがでしょうか?

著者プロフィール

亀本 裕子(かめもと ゆうこ)

亀本 裕子(かめもと ゆうこ)

岩手県立一関第一高等学校理数科卒
法政大学工学部建築学科卒

設計事務所に勤めた後、結婚を機に夫の赴任先であるアメリカに滞在、帰国後、シンクタンクで働いている。国土基盤、エネルギー、環境の分野は建築とはそう遠からず。一児の母であり、建築家の妻でもある。

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