令和7年版厚生労働白書から見る若者への期待 | グリーンジョブのエコリク

エコリクコラム

一覧に戻る

令和7年版厚生労働白書から見る若者への期待|グリーンジョブのエコリク

2025.9.11

トピック

令和7年版厚生労働白書から見る若者への期待

令和6年版と令和7年版の厚生労働白書の大きな変更点とは

厚生労働白書は、国民に政策課題への理解を深めてもらう「テーマ編」と、直近の政策対応をまとめる「年次行政報告」の二部構成となっています。令和6年版のテーマは、現代社会における喫緊の課題である「こころの健康」に焦点が当てられ、あらゆる世代のメンタルヘルスに関する現状と対策が詳細に論じられました。これに対し、2025年7月29日に公表された令和7年版は「次世代の主役となる若者の皆さんへ」と題し、社会保障や労働施策の役割、そしてそれらに対する若者の理解と関与を促す内容へと大きく転換しました。

表1 令和6年版と令和7年版の変更点

令和7年版 厚生労働白書の特徴

令和7年版厚生労働白書の最大の特徴は、ターゲット層を「若者」に明確に絞り込み、彼らに社会保障と労働施策の重要性を分かりやすく伝えることにあります。白書は、高校生へのアンケート調査などを通じて、若者の社会保障や労働施策への関心度が必ずしも高くない現状を指摘し、これらの制度を「自分事」として捉えることの意義を強調しています。

若者への期待と今後の人材

厚生労働省は、社会保障と労働政策の担い手として若者に大きな期待を寄せています。同時に、少子高齢化社会においてこれらの制度を持続可能にするためには、若者が制度の仕組みを理解し、積極的に関わることが不可欠です。この文脈において、今後必要となる人材は、単に制度を利用するだけでなく、社会全体の課題解決に貢献できる能力を持つ「社会の担い手」です。

具体的には、

  • 社会保障教育・労働法教育の専門家: 複雑な社会制度を分かりやすく教え、若者の関心を高める教育コンテンツを開発できる人材。
  • データサイエンティスト: 若者の意識調査や行動データを分析し、効果的な政策立案や広報戦略に活かせる専門家。
  • 地域共生社会のコーディネーター: 地域の課題を把握し、多世代が協力して社会保障制度や福祉サービスを支える仕組みを構築できる人材。
  • キャリア教育のプロフェッショナル: 変化する社会のなかで、若者が主体的にキャリアを選択し、労働施策を最大限に活用できるよう支援する人材。

これらの専門家は、制度の「伝える人」、「考える人」、そして「つなぐ人」として、若者と社会の間のギャップを埋める役割を担うことになります。

令和7年版厚生労働白書は、若者を社会保障と労働施策の受け手ではなく、主体的な担い手として位置づけました。これは、メンタルヘルスという個人の課題から、社会全体で取り組むべき構造的な課題へと、政策の焦点がシフトしていることを示しています。今後、これらの課題に対応するためには、若者と社会をつなぎ、未来を共創する専門的な人材の育成と確保が、ますます重要となるでしょう。

業界のプロがあなたの経歴にマッチした
求人情報をご提案いたします!

会員登録(無料)

【人材をお探しの企業様】貴社のサステナビリティを
推進する人材をご紹介します

詳しくはこちら

執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒 学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事 アニュアルレポート、統合報告書の作成 東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

tag:

一覧に戻る