エコリクコラム

2025.9.4
トピック
8月に経済産業省が発表した「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」の方針について
8月、経済産業省は資源有効利用促進法の改正に基づき、再生プラスチックを活用した「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」として、自動車、家電4品目(エアコン、テレビ、冷蔵庫、洗濯機)、プラスチック製容器包装を指定する方針を示しました。これは、脱炭素社会の実現と資源循環の促進に向けた重要な一歩であり、企業には新たな戦略と人材リソースの確保が求められます。
指定脱炭素化再生資源利用促進製品とは
「指定脱炭素化再生資源利用促進製品」とは、脱炭素化を促すために再生資源の利用を特に必要とする製品として、政令で指定されるものになります。今回の制度改正では、再生プラスチックが「脱炭素化再生資源」として選定されました。
その指定要件は、再生資源を利用することによるCO2排出削減効果が大きいこと、そして技術的・経済的に再生利用が可能でありながら、市場原理だけでは利用が進まない製品であることです。

経済産業省の発表内容のまとめ
経済産業省が発表した資料によれば、今回の制度は、指定製品を製造する事業者が再生プラスチックの利用に関する計画を策定し、定期的に国に報告することを義務付けるものです。これは単なる規制ではなく、企業が自主的に再生資源の利用率目標を設定し、サプライチェーン全体で協調して目標達成を目指すことを促す狙いがあります。特に、自動車や家電、容器包装といった巨大市場が率先して再生プラスチックの需要を創出することで、国内の再生資源供給基盤を強化することが期待されます。
今後の流れと課題
この新たな制度は、サプライチェーン全体での再生プラスチック利用率の可視化と情報連携が不可欠となります。素材メーカーから部品供給者、そして完成品メーカーまで、各段階での再生材利用率のデータを正確に把握し、共有する仕組みを構築しなければなりません。
また、再生プラスチックの品質管理や、新たなリサイクル技術の開発も重要な課題です。
企業が喫緊に対応すべきは人材リソースの確保と人材育成です。特にサプライチェーンを横断して資源循環を最適化するサプライチェーンマネジメントの専門家、再生材の品質向上やリサイクル技術を研究開発するR&Dエンジニア、そして複雑な法規制に対応し、事業戦略に落とし込むことができるサステナビリティ・コンサルタントや企画担当者の需要が高まることが考えられます。
参考文献
執筆者
- tag: