エコリクコラム

2025.7.22
トピック
2026年からはじまる排出量取引制度(GX-ETS)とは?
2025年7月2日、経済産業省GXグループは、2026年度から始まる予定の排出量取引制度(GX-ETS)の制度設計に向けた初の小委員会を開催しました。この会合では、制度の対象企業、排出量の計算・確認方法、排出枠の割り当て、そして市場の仕組みなど、GX-ETSをスタートさせるために必要な技術的なルール作りが進められる方針が示されました。
カーボンニュートラル社会の実現に向けて、日本はGX(グリーントランスフォーメーション)を推進しており、その柱の一つが排出量取引制度です。この制度は、企業が排出できる温室効果ガスの量に上限を設け、その排出枠を企業間で取引できるようにすることで、効率的に排出量削減を促すことを目的としています。
制度対象者の考え方

出所)経済産業省 GXグループ「排出量取引制度の詳細設計に向けた検討方針」(※1)
GX-ETSの対象となるのは、大量の温室効果ガスを排出する事業者が中心になると考えられています。
排出実績量の算定の考え方

出所)経済産業省 GXグループ「排出量取引制度の詳細設計に向けた検討方針」(※1)
排出実績量を正確に把握することは、排出量取引制度の根幹です。国際的な基準との整合性を図りつつ、算定方法の透明性を確保し、第三者による検証・保証を導入することなどが検討されています。
カーボン・クレジットの使用上限

出所)経済産業省 GXグループ「排出量取引制度の詳細設計に向けた検討方針」(※1)
諸外国の例を元に国内でのカーボン・クレジットの取引状況等も踏まえ制度上の扱いについては今後も検討されます。
制度設計の方向性

出所)経済産業省 GXグループ「排出量取引制度の詳細設計に向けた検討方針」(※1)
GX-ETSの制度設計は、段階的に進められます。まず、2026年度からの本格運用に向けて、排出枠の割り当て方法、市場の運営方法、排出量の報告・検証体制といった技術的な基準が策定されます。
サステナビリティ情報開示・保証に関する動向

出所)経済産業省 GXグループ「排出量取引制度の詳細設計に向けた検討方針」(※1)
排出量取引制度と並行して、企業のサステナビリティ情報開示の義務化も進められています。また、開示された情報の信頼性を高めるため、第三者による保証(アシュアランス)の重要性も高まっていて、対応できる人材ニーズは引き続き高い状況です。これらの動向は、GX-ETSの実効性を高める上で不可欠な要素となります。