エコリクコラム

2025.7.17
トピック
グロース市場、上場維持基準を見直し
2025年7月9日、東京証券取引所(東証)上場部は、グロース市場における今後の対応について発表しました。これは、スタートアップ企業が上場後も持続的に成長し、さらに社会貢献も両立できるよう、上場維持基準などの見直しを進めるというものです。
スタートアップ企業は資金調達時から、多くの投資家からESG、持続可能なビジネスモデルを構築することを求められていますが、上場後は更なる企業価値の向上と、IFRSなどの国際基準レベルの開示条件を満たしたESGの推進が求められます。
グロース市場の見直しに対する反応と今後の対応について
今回の見直しは、グロース市場が本来目指す「高い成長性を持つ企業群」というイメージを強化し、市場全体の魅力を高めることが目的です。市場参加者からは、成長性を重視する姿勢を歓迎する声がある一方で、基準が厳しくなることへの懸念も聞かれます。東証は、こうした意見を踏まえつつ、市場の健全な発展と、スタートアップの成長を支援するための具体的な対応を進めていく方針です。
グロース市場上場維持基準の見直し案

出所)東京証券取引所 上場部「グロース市場における今後の対応」(※1)
これらの見直しは、東証がグロース市場を「将来有望な企業が育つ場所」として明確化し、投資家にとって魅力的な市場にしようという強い意思の表れと言えるでしょう。
背景と今後について

出所)東京証券取引所 上場部「グロース市場における今後の対応」(※1)
今回の見直しは、現在のグロース市場が抱える課題、例えば、一部の企業が期待された成長を達成できていないことや、投資家が企業の成長性を判断しにくいといった背景があります。東証は、これらの課題を解決し、グロース市場が本来の役割を果たせるよう、持続的な議論と改善を行っていくとしています。
将来的には、より厳格な基準を設けることで、本当に成長性の高い企業がグロース市場に集まり、健全な市場競争が促進されることが期待されます。これにより、国内外の投資家からの信頼を高め、スタートアップが成長するための資金調達をより円滑にすることも目指されています。
東証のグロース市場見直しは、日本のスタートアップエコシステム全体に大きな影響を与える可能性があります。本当に価値のあるスタートアップが市場で評価され、持続的な成長と社会貢献を両立できる環境が整備されるチャンスでもあります。今回の見直しが、社会課題解決型企業が、より多く生まれるきっかけとなると予想されます。