エコリクコラム

2025.7.15
トピック
日本のカーボンニュートラルを支える船の需要
令和7年6月20日、国土交通省海事局は「将来の船舶需要予測検討タスクフォース」の中間とりまとめを発表しました。
カーボンニュートラルを進める上でどうして船が必要なのかを深堀します。
2050年カーボンニュートラル実現に必要な水素やアンモニアの量とは?
2050年カーボンニュートラルを実現するためには、現在の化石燃料に代わる新たなエネルギー源が大量に必要になります。特に注目されているのが、水素とアンモニアです。
経済産業省が発表している「グリーン成長戦略」などによると、2050年には年間で以下のような供給目標が掲げられています。
- 水素:年間約2,000万トン
- アンモニア:年間約3,000万トン
カーボンニュートラル(CN)貨物はどれだけ必要か
2024年の水素世界生産1位は中国であり、3650万トンを生産しています。アンモニアはアメリカやUAE、インドで生産増が進んでいます。
日本でも研究や開発が進んでいますが、2050年の供給目標のすべてが国内生産できるわけではありません。
中間とりまとめでは、2050年のカーボンニュートラル達成に必要な貨物(CN貨物)の輸送量が具体的に示されています。

出所)国土交通省「我が国の将来のカーボンニュートラル貨物運搬船の需要予測(中間とりまとめ)」(※1)
中間とりまとめによると、2050年におけるCN貨物の輸送量は、従来のLNG(液化天然ガス)輸送量をはるかに超える規模と予測されています。
これらのCN貨物の種類や量に応じて、それぞれに適した仕様の船舶が開発され、建造される必要があります。2050年に向けて、海の上を走るエネルギー供給インフラが大きく変化します。
中間とりまとめ内容:2050年に向けた船舶の未来図
今回の中間とりまとめは、今後の日本の海運業界と造船業界にとって、非常に重要な指針となります。

出所)国土交通省「我が国の将来のカーボンニュートラル貨物運搬船の需要予測(中間とりまとめ)」(※1)
2050年カーボンニュートラル達成のために、2050年までにかなりの種類、隻量の船が輸送に必要になります。そのため、船舶の建造、特に環境に配慮した船舶の開発、また船舶の造船だけでなく、メンテナンス、塗料など周辺業界の活性が今後予想されます。