エコリクコラム

2025.4.25
トピック
企業が向き合うべき水リスクとは?
近年、気候変動の影響による水不足や水害が世界各地で頻発し、企業活動においても水リスクへの対応が喫緊の課題となっています。CDP(Carbon Disclosure Project)が水セキュリティに関する質問書を発行するなど、情報開示の重要性も高まっています。
水リスクとは
水リスクとは、企業の事業活動が水資源の不足や過剰、水質汚染などによって受ける可能性のあるリスクのことです。事業活動に不可欠な水資源の安定確保が困難になることで、操業停止やサプライチェーンの混乱、レピュテーション低下など、企業経営に深刻な影響を与える可能性があります。
水リスクの3つの種類
水リスクは、大きく以下の3つに分類されます。
物理リスク:
- 洪水や渇水、水質汚染など、物理的な水の問題によって生じるリスク
- 例:工場の浸水による操業停止、取水制限による生産量減少
規制リスク:
- 水資源に関する法規制や政策の変更によって生じるリスク
- 例:排水規制の強化による追加コスト発生、取水許可の制限
評判リスク:
- 水資源に関する企業の行動が社会からの批判を受けることによって生じるリスク
- 例:排水による環境汚染、地域住民との水資源をめぐる対立
企業が考慮すべき水リスクの管理とポイント
水リスクを適切に管理するためには、以下のポイントを押さえる必要があります。
水リスクの特定:
- 事業拠点やサプライチェーンにおける水リスクを評価し、優先的に対応すべきリスクを特定
水リスクの評価:
- 水リスクの発生確率や影響度を評価し、定量的なリスク評価を実施
水リスクへの対応:
- リスク評価に基づき、具体的な対策を策定・実施
- 例:節水対策の導入、排水処理設備の強化、サプライヤーとの連携
Aqueduct(アキダクト) (※1)について
- WRI(世界資源研究所)が開発した、世界中の水リスクを評価できるツール
Aqueductツールの内容
- 洪水リスク、渇水リスク、水ストレスなど、多様な水リスク指標を提供
- 企業の事業拠点やサプライチェーンにおける水リスクを把握し、対策を検討する際に役立つ
水セキュリティのモジュール
CDP水セキュリティは、企業が水資源管理に関する情報を開示するためのフレームワークです。企業は、水資源の利用状況や水リスクへの対応策などを開示することで、投資家やステークホルダーに対して透明性を示すことができます。
これらの質問に答えるためには水利用について、本業と同様事前に戦略立てを行って準備を進める必要があります。
具体的には以下のような項目に取り組んでおく必要があります。
- 排水や利用量、水質など適切な水利用を行うための定量的な目標設定
- 上記のための定量的データ取得
- データの中立性を保つための自社のリスク管理体制
- サプライチェーン全体を含めた管理体制
また、2024年から気候変動、フォレストなど他の分野と質問書が統合されたため、複数の環境課題に対する相互関係性を理解し、環境全般のリスク、影響、機会をより評価できることが求められます。
ESG投資への影響やTCFDタスクフォースとの関係
ESG投資において、水リスクは重要な評価項目の一つです。投資家は、企業の開示情報を参考に、水リスクへの対応が不十分な企業への投資を控える可能性があります。また、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)も、気候変動による水リスクの開示を推奨しています。
TNFDにおける水リスクの位置付け
TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)は、自然資本に関する情報開示のフレームワークです。TNFDは、水資源を含む自然資本の利用状況や依存度、リスク、影響、機会に関する情報開示を推奨しています。
持続可能な水利用管理プログラム「ウォータースチュワードシップ」
ウォータースチュワードシップとは、企業が流域全体の水資源の持続可能性に貢献するための取り組みです。企業は、地域社会や他の企業と連携し、水資源の保全や効率的な利用を推進することが求められます。

出所)WWFジャパン「企業の「水リスク」対応に必要な5つの視点」(※2)
水リスク対応すべき「5つの視点」
企業が水リスクに対応する際には、以下の5つの視点を持つことが重要です。
- 事業拠点における水リスクの把握
- サプライチェーンにおける水リスクの把握
- 水リスクへの対応策の策定・実施
- ステークホルダーとの連携
- 情報開示と透明性の確保
水リスクは、企業経営に大きな影響を与える可能性のある重要な課題です。企業は、水リスクを適切に管理し、持続可能な事業運営を目指す必要があります。
水リスクへの対応は、企業の社会的責任を果たすだけでなく、新たなビジネスチャンスにもつながります。積極的に水リスク対策に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献しましょう。