2025年2月18日のGX2040ビジョンについてのとりまとめ | グリーンジョブのエコリク

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2025年2月18日のGX2040ビジョンについてのとりまとめ|グリーンジョブのエコリク コラム

2025.4.16

トピック

2025年2月18日のGX2040ビジョンについてのとりまとめ

2023年、日本政府は「GX推進法」と「GX脱炭素電源法」を成立させ、「脱炭素成長型経済構造移行推進戦略」(GX推進戦略)を閣議決定しました。これにより、「成長志向型カーボンプライシング構想」をはじめとする新たな政策が具体化されました。そして2025年2月18日、将来の不確実性に対応し、GX投資の予見可能性を高めるため、GX推進戦略を改訂し、「GX2040ビジョン」が策定され、閣議決定されました。

GX2040ビジョンの概要

GX2040ビジョンは、2050年のカーボンニュートラル実現に向け、2040年を見据えたGXに関する中長期的なビジョンです。このビジョンでは、産業構造、エネルギー政策、技術開発、国際協力など、多岐にわたる分野での具体的な目標と戦略が示されています。

GX2040ビジョンの8つのパート

GX2040ビジョンは、以下の8つの主要なパートで構成されています。

(1) はじめに

  • GXの重要性と、国内外の最新動向、日本の強みと課題について説明
  • GXを経済成長の機会と捉え、国際社会と協調しながら、日本が主導的な役割を果たすことを強調

(2) GX産業構造

  • 2040年に向けた産業構造の変革の方向性を示し、重点分野として水素・アンモニア、カーボンリサイクル、次世代蓄電池などを特定
  • これらの分野における技術開発、実証実験、社会実装を促進するための具体的な政策を提示
  • イノベーションを促進し、日本の強みを活かした持続可能な産業構造への転換を目指す

(3) GX産業立地

  • GX関連産業の国内立地を促進するための戦略を示し、地域ごとの特性を活かした産業集積を推進
  • 脱炭素電源や水素等の新たなクリーンエネルギー近傍への産業集積を加速
  • 需給一体型で効率的に脱炭素電力の利用や整備を進めるため、デジタル技術を活用したDXに取り組む企業に対して、脱炭素電力の利用を促すインセンティブ措置を検討
  • 地方公共団体とも連携し、地方公共団体にとって脱炭素電源を整備するインセンティブとなる措置も検討
  • 投資規模を含め大きな成長を志す企業を対象にする等、メリハリをつけた検討を行う
  • 再生可能エネルギーの導入拡大、水素ステーションの整備、カーボンリサイクル拠点の設置などを支援

(4) 現実的なトランジションの重要性と世界の脱炭素化への貢献

  • 各国の状況に応じた現実的なトランジションの重要性を強調し、日本の技術や経験を活かした国際協力を推進
  • AZECを通じた政策協調を支えるため、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA)に新たにセンターを設置。対外発信も強化
  • アジア諸国をはじめとする発展途上国の脱炭素化を支援し、世界のカーボンニュートラル実現に貢献

(5) GXを加速させるためのエネルギーをはじめとする個別分野の取組

  • エネルギー、産業、運輸、家庭など、各分野における具体的な脱炭素化の取り組みを示す
  • 再生可能エネルギーの主力電源化、水素・アンモニアの導入拡大、省エネルギーの推進、電動車の普及などを促進
  • GX製品の国内市場立ち上げに必要となるGX製品の価値評価、調達に向けた規制・制度的措置を検討
  • GX価値の見える化、GX製品・サービスの調達、GX製品の需要拡大を推進

(6) 成長志向型カーボンプライシング構想

  • 排出量取引制度と炭素賦課金を組み合わせたカーボンプライシングの導入を示し、企業の脱炭素投資を促進
  • カーボンプライシングで得られた収入を、企業のGX投資や技術開発支援に活用

(7) 公正な移行

  • GX推進に伴う社会的な影響に配慮し、地域や産業の移行を支援
  • 雇用創出、人材育成、地域活性化など、公正な移行のための具体的な政策を提示

(8) GXに関する政策の実行状況の進捗と見直し

  • GX推進戦略の進捗状況を定期的に評価し、必要に応じて見直しを行うことを明記
  • 政策の効果検証、技術動向の把握、国際情勢の変化への対応などを通じて、戦略を常に最適化

GX2040ビジョンによる経済成長

GX2040ビジョンは、以下の点で経済成長に貢献すると考えられています。

  • 新たな市場創出:GX関連技術の需要拡大により、新たな市場が創出され、企業の成長機会が生まれます。
  • 技術革新の促進:脱炭素技術の開発競争が激化し、日本の技術革新力が向上します。
  • 投資の活性化:カーボンプライシングなどの政策により、企業のGX投資が促進され、経済が活性化します。
  • 国際競争力の強化:GX分野で先行することで、日本の国際競争力が強化され、輸出機会が拡大します。

まとめ

GX2040ビジョンは、日本の脱炭素化と経済成長を両立させるための重要な戦略です。このビジョンに基づき、政府、企業、国民が一体となって取り組むことで、持続可能な社会の実現と新たな経済成長が期待されます。

一方で、使われなくなる製品・サービス、失われる仕事もあり、変化に取り残される企業・労働者が増える可能性があります。
早期の脱炭素が難しい産業や経営資源が限られる中小企業、そこで働く労働者も多く、公正な移行の推進が重要になります。
人手不足が深刻化するなか、労働者の移行やキャリアチェンジは、GX関連産業の育成や持続的な経済成長の実現のためにも不可欠です。

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒 学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事 アニュアルレポート、統合報告書の作成 東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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