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地球温暖化が進むと感染症リスクが高まる|グリーンジョブのエコリク コラム

2025.3.6

トピック

地球温暖化が進むと感染症リスクが高まる

2024年は世界の平均気温が観測史上最も高く、産業革命以前と比べて1.5度以上、上昇した年です。
世界では、平均気温の上昇が産業革命以前の水準と比べて1.5℃を超えないようにするという目標を掲げ、活動を続けていましたが地球温暖化は止まらず気温が上昇しつづけています。
このまま気温が上昇した場合は次のようなリスクが発生する可能性があります。

(想定される気温上昇によるリスク)

  • 高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク
  • 大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク
  • 極端な気象現象によるインフラ機能停止
  • 熱波による死亡や疾病、感染症の拡大
  • 気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題
  • 水資源不足と農業生産減少
  • 陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失
  • 同じく海域の生態系、生物多様性への影響

想定されるリスクの中から今回は「熱波による死亡や疾病、感染症の拡大」、特に「感染症」について説明します。

そもそも感染症とは?

そもそも、感染症とは、微生物が体内に侵入し感染することによって起こる病気の総称のことです。
ウイルスや細菌などの病原体が、野生動物や家畜、蚊やダニなどを介して、また、飲料水や食物を介して、あるいは人から人に直接に侵入するために起こる病気です。

感染症は次のような4つの条件があるとかかりやすくなります。

  • ① 人の体に侵入する病原体の数が多い
  • ② 病原体を媒介する生物が多い
  • ③ 病原体が侵入しやすい居住空間である
  • 公衆衛生の状態がよくない

私たちが暮らす地域の中で、これらの条件が回避できれば感染症の拡大は阻止できます。

地球温暖化と健康被害

(気温上昇による直接的影響「熱中症」)

地球温暖化とは、単に気温が上昇して暑くなるという現象だけではありません。

地球全体が温暖化になると、世界の各地で気候条件が変化し、それがさまざまな分野に影響を及ぼすことになります。
温暖化が進むと、まず気温が上昇し、それと共に雨の量が、地域によって増加したり、減少したりという変化が生じます。
温められた海水が膨張し、海面の上昇が生じる地域もあります。
また、台風、熱波、干ばつ、洪水などの異常気象も、頻度や強度が増すと予測されています。

そうすると、自然や社会にもさまざまな被害が生じることになります。

図1 温暖化による日本の影響の全体像
出所)環境省パンフレット「STOP THE 温暖化 2005」(※1

少し古い資料ですが、環境省HP「パンフレット「STOP THE 温暖化 2005」」(※1)では、温暖化による日本の影響の全体像が掲載されています。

すでに温暖化の影響により、熱中症による救急搬送数も、消防庁の取りまとめによると、2024年(5月~9月)は平成20年の調査開始以降最も多い結果が出ています。(※2

図2 2024年と2023年の5月~9月の100万人あたりの都道府県別熱中症搬送人数
出所)お天気データサイエンス「暑さ指数等で見る2024年夏の猛暑の地域的特徴および2023年との比較」(※2

(気温上昇による間接的影響「感染症」)

地球温暖化は水媒介性感染症の発生を増大させます。特に多くの途上国では、上下水の設備が不十分で、安全な水が手に入りにくく、また衛生面での問題があるため、汚染された水が原因で感染症が拡大することが現在でも問題となっています。
その上に今後温暖化が進むと、大腸菌などが増殖するのに適した温度(大腸菌は37度)まで水温があがるとより一層水質の汚染状態が悪くなり、水媒介性感染症が増加する可能性が高まります。

世界各地には、現在日本には侵入していない多くの感染症が存在しています。これらの感染症のいくつかは、流行と温暖化との関連が推察されています。
温暖化が進むと、媒介とする生物(蚊やダニ)の分布、発生状況が変化します。
リフトバレー熱とハンタウイルス肺症候群などの感染症は、温暖化・気候変動との関連の
可能性が強く示されている研究結果もあります。

※共に媒介となる生物(蚊、げっ歯類)はエサが少なく大量発生はしませんが、降水量が増大すると媒介となる生物が大量繁殖するため、人への感染が増加します。

(温暖化で想定される日本への影響)

温暖化で想定される日本への影響は次の2点になります。

  • 1) 蚊が卵、幼虫、成虫の状態で越冬するため蚊自体の個体数が増加し、感染症の媒体が増える。
  • 2) 夏期の都市部およびその周辺地域における平均気温の上昇により、蚊の体内または媒介するウイルスの増殖を活発化する。

永久凍土のリスク

温暖化による感染症の拡大で一番の問題は永久凍土に眠る哺乳類の遺体です。

永久凍土とは地下の温度が0度以下の状態が2年以上続いている土のことです。
永久凍土には何万年も前の動物の遺体や、病原菌、ウイルスなどが閉じ込められています。
一般的には、動物の遺体や枯れた植物などは土にかえり、微生物によって分解されていきます。
けれど、永久凍土では、0度以下という環境のため、分解が極めて遅くなり、結果として、何万年も前の動物の遺体が新鮮な状態で保存されています。
そのため、人間に近い哺乳類を死に至らしめたウイルスが、凍結された遺体に閉じ込められている可能性があります。
そして、このウイルスは人間が数万年も触れ合ってこなかったウイルスの可能性があるため、私たちにはまったく免疫のないウイルスである可能性があります。

だからこそ、地球温暖化は防がないといけない世界共通の社会課題です。

地球温暖化の原因は3つです。

  • 1つ目は温室効果ガスの排出増加
  • 2つ目は森林破壊と土地利用の変化
  • 3つ目はエネルギー使用の増加と効率の低下

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執筆者

神戸 修

神戸 修(こうべ おさむ)

  

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒
学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事
アニュアルレポート、統合報告書の作成
東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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