長時間労働とメンタルヘルスの関係について | グリーンジョブのエコリク

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長時間労働とメンタルヘルスの関係について|グリーンジョブのエコリク コラム

2025.2.26

トピック

長時間労働とメンタルヘルスの関係について

「長時間労働はメンタルヘルスに良くない」という印象がありますが、実はこの2つについて、東京医科大学病院のリリース「残業それ自体ではなく、長時間労働による睡眠不足と食事の不規則さがメンタルヘルスに害を与える」ではこう記載があります。

東京医科大学精神医学分野の渡邉天志医師・志村哲祥医師らの研究グループは、複数の企業群を対象に行われた職業性ストレスの状況(ストレスチェック)、睡眠の状況、そして勤務時間に関する質問紙調査を行うことにより、長時間労働・残業時間は直接うつや心身のストレス反応に関係しないこと、しかし睡眠時間の短縮と食事時間の不規則化を介して、それらメンタルヘルスに間接的に有意に関連することを明らかにしました。(※1

この研究結果から、労働時間を削減できても睡眠時間の不足食事が不規則だとメンタルヘルスの改善効果はないということが解りました。

さらに、長時間労働が存在していたとしても、睡眠時間が確保され、食事も乱れることがなければ、メンタルヘルスに与える影響は限定的であることも示されています。(あまりに長すぎる残業だと、必然的に睡眠時間は減少してしまうため、何らかの上限あるいはインターバル勤務等には意味があると考えられます)

良質な睡眠

良質な睡眠のための生活習慣にはふたつの役割があります。

ひとつは直接的な役割で、「運動」「入浴」のように習慣そのものが直接的に快眠をもたらす場合です。
もうひとつは間接的な役割で、良い習慣で体内時計を24時間にきっちりと調節すれば、規則正しい睡眠習慣が身に付いて快眠が得られます。

そのための習慣として「光浴」があります。そしてこれらの習慣はそれを行うタイミングが重要なことも分かっています。(※2

規則正しい食生活

規則正しい食生活とは、栄養素のバランスがとれた食事を、腹八分目を心がけ1日3食取り入れることです。

食事と食事の間隔が空きすぎてしまうと、体が飢餓状態となり、1度に沢山食べてしまいます。さらに朝食を抜いてしまうと、体は代謝を抑えてエネルギーを使わないようにしてしまいます。
代謝が低下すると、食べたものがエネルギーとして使われず脂肪として蓄積されるため『へとへと』になる、体力が落ちたと感じるようになります。
食事は1日3食とし、毎日同じ時間帯に食事を摂るようにすると良いです。

毎食のエネルギー量は朝:昼:夜を3:4:3(または3:3:4)の割合にするのが理想的です。夕食の量が多すぎる、また寝る2時間前の食事は肥満になる、バランスが崩れる原因になります。

セルフケア

残業時間を抑制し、良質な睡眠を確保、食生活を見直しても現代はストレス社会であります。

厚生労働省は企業のメンタルヘルスケアを「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」、「事業場外資源によるケア」の4つに分類しています。
この中の「セルフケア」は個人でできます。
このセルフケアを身につけることで、自分のストレスやメンタルヘルスの不調にいち早く気づき、自分自身で対処できます。 適切なセルフケアは心身の健康を保つほか、うつ病や自律神経失調症などの予防にもつながります。

簡単に出来るセルフケアについてご紹介します。

(マインドフルネス瞑想)

  1. いすに腰かけて姿勢を正す。その時に背中をもたれさせないよう浅く座り、骨盤を垂直に立てたイメージで座る。脚は組まずに地面につけ、背筋を伸ばす。
  2. 肩を数回まわし、胸が開ききった状態で腕を下ろして、手は膝の上に乗せる。
  3. 目を閉じるか半目にしてゆったりと構える。
  4. 腹式呼吸を行う。呼吸は意識的にするのではなく、浅すぎず深すぎず自然体の呼吸を心掛ける。
  5. 呼吸に注意を向け、自分の中に入って出ていく呼吸の流れに集中する。
  6. 周囲の音や雑念に気が散ってしまったときは、もう一度呼吸の流れに意識を戻すようにする。
  7. この呼吸を5~10分ほど繰り返したら、少しずつ意識を自分に戻す。自分に意識が集中できたらゆっくりと目を開けて瞑想を終了する。

(コーピング)

コーピングとは、「cope:うまく対処する」という意味を持つ英語から派生した、ストレスに対処するための意識的な行動のことをいいます。
コーピングは、もともとはアメリカの心理学者であるラザルス(Richard S. Lazarus)が提唱した、ストレス対応に関するメンタルヘルス用語です。
ストレス軽減・解消法をまとめた以下のようなコーピングリストを作成し、可視化することで、普段から意識して行動しやすくなります。

コーピング例

  • ・コーヒーを飲む
  • ・外の空気を吸う
  • ・日光を浴びる
  • ・好きなものを食べる
  • ・マッサージに行く
  • ・頭皮マッサージをする
  • ・半身浴をする
  • ・部屋やデスク周りの掃除をする
  • ・断捨離をする
  • ・自分を褒める

(趣味を楽しむ)

退勤後や休日は、仕事から離れ趣味を楽しみましょう。自分の好きなことに取り組む趣味を楽しむ時間をもつと気分転換ができます。
仕事から解放された時間を作れますし、仕事以外の交友関係も広がります。

(環境を変える)

「今の環境にいるのがどうしてもつらい」「上司からのパワハラで仕事に行きたくない」そのような状況なら、今の職場を離れるのも仕方がありません。
自分の心身の問題を最優先にしないと、心身とも疲れ果ててしまい、取り返しのつかない事態に陥ってしまうこともあります。

厚生労働省「令和5年雇用動向調査結果の概況」(※3)では退職理由のうち「職場の人間関係が好ましくなかった」を選んだ男性は9.1%、女性は13.0%で、人間関係で退職する人は一定数います。

本当につらくなった時は、転職し環境を変えることも一つの選択肢です。

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執筆者

神戸

神戸 修(こうべ おさむ)

  

株式会社グレイス ゼネラルマネージャー

大阪学院大学 流通科学部流通科学科卒
学生時代より、就活・キャリア支援のサークルを立ち上げ人材ビジネス会社、給食会社にて法人営業、採用、広報業務に従事
アニュアルレポート、統合報告書の作成
東日本大震災等では現地の医療関連従事者の業務サポートを手がける

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